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skate columnSKATE COLUMN 2012/8/29  

小原祐一
渋谷/代官山にあるスケートショップ CALIFORNIA STREETに勤務。
アパレルブランド COLOR COMMUNICATIONSの平社員兼社長。
スケートフォトグラファーとして活動中。
毎月15日、ustream内の生放送番組、FESN.TVにレギュラー出演中。
スポンサー:FATBROS, DESTRUCTO, HARDZEISS, IKB, 友達
1回目 2012/8/8 『出会い』
2回目 2012/8/22 『怪我・ポジティブ』
3回目 2012/8/29 『HOME SPOT / 守らねばならないもの』
4回目 2012/9/4 『初期衝動』

『HOME SPOT / 守らねばならないもの』


僕はこの話をするときはどうしても熱くなってしまいます。
出来そうだけどトライするのが怖いスポット、
やりたいけどきっかけがなかなかなくてトライしてないスポット、
その他色々な事情があって行動できないことは多々あります。
そんなスポットが昔、地元池袋に1つありました。
その場所は昔から気になっていて、スケボーなしでもしょっちゅう通る場所で、
いつかはやりたいな~、って何年も思ってました。
当時、僕はカメラのフィッシュアイレンズをゲットして、
地元の仲間達と酒を飲んで、ふざけた写真を撮りながら街をフラフラしてました。
そんなときたまたまそのスポットを通ったので、
僕は独り言のようにボソッと『ここ昔からやりたいんだよね~』言ってました。
まぁ酔っぱらってたしそのまま通り過ぎるのかと思いきや、
みんなでそのスポットをマジマジと見てました。
そしたらカツミ(EVISEN / NIGHT PROWLER)が『小原君いけるっしょ!やりましょうよ!』と切り出し、
今度はハブチン(BIGWING)が『小原君がやらないんだったら、俺やりますよ!いけるっしょ!』、
ヨウジ(created in japan監督)は無言、
そしてムネ(SUN DANCE FLOW PRO)が『ゆうちゃん、絶対やったほうがいいよ!』って始まりました。
その時、自分は内心『このスポット怖いし、どうしよう、、、』って思ったのですが、
その場の勢いと少し酔っぱらってたせいとノリで、
『どっちみち昔からやりたかったスポットだし、じゃあやっちゃおうか!』と言ってました。
そしたらすかさずカツミが『じゃあ明日、撮影しましょう!』となり、
『明日かよ!?』と思いつつも、
すぐに次の日にトライすることが決定してしまいました。
実はそのときからかなりの緊張が僕を襲ってました。。。


そして、次の日が訪れました。
ユッキー(SECRETCUT)に撮影のアポを取り、僕はいつものようにカリストで仕事をしてました。
仕事中に代理店の人と電話で話してたら、
『小原君、今日ヤバいの行くんでしょ?見に行くよ!』と何人かに言われ、
自分の携帯電話も時々鳴りみんな口を揃えて『今夜、何時から?』、
前日その場にいた5人しか知らないのにいつの間にか誰かが垂れ流し。
おいおい、なんだかイベントみたいになってるよ。
仕事中なのにかなりの緊張がまた僕を襲ってきました。。。

僕は仕事を済ませ、誰にも連絡せず一人でスポットのビル内の中華料理屋で夜ご飯を食べてました。
食事中も電話が凄くて、『小原君、どこッスか?もうみんな集まってますよ!』と。。。
『もう行くしか無い。後戻りはできない。』と自分に言い聞かせてました。
大げさだと思うかも知れないですが、本当に僕はその境地でした。
とにかく怖いんです。チキン野郎です。ハイ。

みんなが居る場所に合流すると、
カメラマンのTIMやSONIKのオックン、大森からティーチ(横溝太一)と
その他多数池袋には珍しいメンツと、いつもより特別多いいつものメンツで、
まさかの総勢20人位がスケートしてました。
みんなと挨拶を交わし、アップし始めました。
アップしてある程度経った頃、カツミが『小原君のタイミングでいつでも行きましょう』と一言。

『行こうか。』

自分、ハブチン、そして太一、の3人で始まりました。
3人ともアプローチはするもののテールを叩けず踏み切れない状態でした。
順番を待ってる場所がちょうど太い柱の手前で、
実際他の人のトライが見えないところで、音で判断するしかありませんでした。
そろそろテール叩かないと、思ってた矢先、太一のテールを叩く音が響きました。
『マジで!?』
するとカツミが
『太一君テール叩いて体も越えてましたよ!やられちゃいますよ!』と僕に伝えてきました。
この一瞬『俺も叩かないとまずい、長年やりたかった地元のスポット、地元の若いのが見てる、
よそ者(悪い意味ではなく)にやられるわけにはいけない』
というとんでもない責任感とやらなきゃいけないという感情が自分を駆り立てました。
次のトライ、もちろんテールを叩きました。
もうがむしゃらです。
テールを叩いてから2、3回目、乗りゴケ。
そしてすぐに警備員達がやってきました。
少しの間、待機することになりました。
一回乗りゴケしてアドレナリンの分泌が凄すぎて早くやりたくてしょうがなかったです。

ほとぼりが冷めて再トライ開始。

さっきのテンションそのままで一気に全開でした。
その辺はあんまり覚えてないのですが、
気が付いたらトライしてるのは自分一人で、太一は気を使ってくれたのか手を引いてました。
その後、何トライかでやっと念願のメイクに辿り着きました。
うれしくてしょうがなかったです。
そのあとなぜかカツミに『小原君、もう一回』と言われ、
2回目もメイクしましたが興奮してたのでさほど気になりませんでした。

とにかく地元の名物スポットを守れた事、
地元の若手達にそういう場面をみせられたことが一番うれしかったです。
その機会を与えてくれたみんな、その日集まってくれたみんな、
そして大森からの刺客、横溝太一君に感謝です。
太一が僕に火をつけてくれなかったらあんな思いにもならなかっただろうし、
メイクしてたかどうかすらも分かりません。
それほど太一の存在はデカかったし、一生忘れません。

とにかくみなさん、地元のスポットと地元の仲間達を大切にして下さい。

これは果たしてコラムと言えるのか分かりませんが、今回もお付き合い頂きありがとうございました。


“OLLIE”photo by NAKAMURA / 2006年3月11日


skate column小原祐一
1回目 2012/8/8 『出会い』
2回目 2012/8/22 『怪我・ポジティブ』
3回目 2012/8/29 『HOME SPOT / 守らねばならないもの』
4回目 2012/9/4 『初期衝動』
 
 
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