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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2007/11/7  
守山倫明(モリヤマミチアキ)
1958年生まれ 京都府京丹後市出身 京丹後市在住
サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン代表
八丁浜・琴引浜をホームポイントするサーファー。三代続く旅館を営みながら、83年よりソルジャーブルーサーフショップを開業。ポイ捨てゴミ・漂着ゴミ・消波ブロック投入・埋め立てによるホームポイントの破壊に憤りを感じ、サーファーによるビーチクリーンナップなどの啓発活動や埋め立て反対運動を起す。99年SFJ理事就任。03年SFJ代表就任。
1回目 2007/10/17 『節電サーファー宣言!サーフィン行くときゃプラグを抜こう!』
2回目 2007/11/7 『サーファーが目指す真の海浜環境とは?』
3回目 2007/11/21 『山を見てサーフする』
4回目 2007/12/5 『空前のサーフィンブームが意味するもの』
5回目 2007/12/19 『全国のサーファーへ告ぐ!』

『サーファーが目指す真の海浜環境とは?』


波は、いつでもどこでもあるわけではない。
低気圧の動き、風向き、地形など様々な要素が重なり合いサーフィンに適した波を創りあげ、我々サーファーを楽しませてくれる。時には荒々しくチャレンジ精神で挑まなければならない波もあるし、メローにゆったりと波の感触を味わいリラックスクルージングできる波もある。また自然の猛威を見せつけられ、ただ呆然と自然の偉大さに圧倒され、自分の小ささを知る時もある。

Photo Char©Photo Char
波は、大海原で巻き起こった風が、作りだすエネルギーの波動である。その波動が、渚や岩礁、アウトサイドリーフに押し寄せ、波のりに適したうねりとなりブレイクする。サーフィンをする環境は、そのポイントの地形が大きく関わっている。そして風向きや潮流によって様々な姿を見せ、サーファーを魅了する。全て地形やその環境が左右する自然と一体化した純粋なスポーツなのだ。

しかし、日本の海岸線は今どうだろう?
浸食に伴いT・バーや、防波堤防、埋め立てなどがひしめいている。
自然の海岸線を持ちながら、むやみに置かれたコンクリートの塊は、人知れず横たわり、本来の環境からかけ離れた姿があり、浸食に拍車をかけるビーチも少なくはない。また、海水浴場などでは、潮流が読めず多くの水難事故を起こす海岸も多いことは否めない。不必要な海岸工事が多すぎではないだろうか。しかも莫大な税金が投入され、その情報の少なさも特筆すべき問題であると思う。地域住民の真の意見や、体感し経験の中から創造された構造物ではなく、デスクワークだけで書かれた青写真をそのまま展開した工法にすぎないのだ。

サーフポイントの減少は、我々サーファーだけの問題ではない。
サーフィンが出来なくなったから大騒ぎをしているわけでもないのだ。
渚は、生態の源であり、陸と海の接点として自然の営みを続ける偉大な場所である。
砂浜の浸食や汚染は、人間社会が創りだした要因がほとんどで、自然の権利は疎かにされ、誰もその権利を主張することができない。

自然再生推進という言葉をご存じだろうか?
作られた物を再生し、できるだけ自然に戻す工法である。
つまり、公共事業によって元に戻すのだ。コンクリートで固められた海岸を磯に再生させ、海流を復活させ、生態系の復元を目指す。画期的な工法である。青森県大畑町キノップ海岸での事例は、まさしくそれに則ったすばらしい事業である。地域活性というお題目で開発された海岸線を二度にも亘り再生させた成功事例である。

サーファーが目指す真の海浜環境とは?
渚があり砂浜があり、海浜植物群が豊富に存在し、防砂・防風林に守られ、その後方に住民が安全に暮らす環境がある。今の日本の海岸線を全て自然再生させることはもう無理かもしれないが、これ以上無駄な工事の元、多額な資金を投入して破壊するより、きっと適切な地域環境づくりがあるのではないだろうか。

SFJでは、そんなウォーターフロント整備や沿岸管理システムの構築を模索している。

そして、子供たちのはしゃぎ声がこだまし、お年寄りが黄昏、恋人たちが愛を語る。海岸が持つ魅力を最大限活かせる海浜環境の提案をしているのである。


SFJ代表 守山倫明
http://www.surfrider.jp


surf column守山倫明
1回目 2007/10/17 『節電サーファー宣言!サーフィン行くときゃプラグを抜こう!』
2回目 2007/11/7 『サーファーが目指す真の海浜環境とは?』
3回目 2007/11/21 『山を見てサーフする』
4回目 2007/12/5 『空前のサーフィンブームが意味するもの』
5回目 2007/12/19 『全国のサーファーへ告ぐ!』
 
 
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