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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2010/11/17  
中田 嘉直(ナカタ ヨシナオ)
1967年1月19日生まれ 鹿児島県鹿児島市出身
17歳の時「サーファー」に憧れ 18歳でサーフィンを始め 現在に至る。
鹿児島市内にてサーフショップWater man surf&sportsを営んでます。
NSA鹿児島支部長  http://nsa-kagoshima.com/
オール九州サーフユニオン理事  http://surfunion.jp/
1回目 2010/10/20 『Power of Kyushu』
2回目 2010/11/4 『Country』
3回目 2010/11/17 『至福の時』
4回目 2010/12/1 『Surf&Music』

『至福の時』

「サーフィンを初めて、これまでに一番楽しかった思い出は何ですか?」
そう聞かれてすぐに答えられる思い出はありますか?
サーフィンしていること自体、楽しい訳ですから、宝箱の中から一番の宝物を決める事と同じですよね。
サーフィン歴が長い人ほど沢山ありすぎて一つに決める事が出来ないでしょうし、
サーフィンを初めたばかりの人でもその中で楽しかった思い出がいくつもあると思いますしね。
私自身がそう思って考えると、
こんな感じのシチュエーションが成立したなら忘れられない思い出になるのでは?

気の合う仲間数人と海外へサーフトリップ、季節は夏、水の色は見た事が無いくらい澄んで
一番得意なサイズの波で、おまけに波質も自分好みの波質で、
サーフィンのレベルも似た仲間と笑顔を交わしながら波を分かち合う。
しかもそこは仲間以外誰もいないポイントで!まるでサーフマガジンで見た写真のような光景で。
おそらくこんなシチュエーションはなかなか無いですよね
私も多くの楽しい思い出がありますが一番を決めるなら、
まさに忘れられない思い出が上記に書いたようなトリップでの思い出です。

仲間に誘われて2週間のサーフトリップへ行く事に、
行く先は「Mentawai」ボートトリップ
僕にとっては念願のトリップでした、夢にまで見たポイントでサーフ出来る!
これまで行ったトリップとは比べられないほど楽しみなトリップがはじまった。
メンバーは気心の知れた5人、
ロングボーダーの先輩に同年代のショートボーダー3人とボディーボーダー1人と言うメンバー達。
韓国からシンガポールを経由してインドネシア、パダンへそこから車で約30分走るとパダンの港へ着く。
そこには2階建ての大きな船が出港の準備をしていて僕らの荷物やサーフボードを船のクルーが積み込んでいく。
日が暮れてあたりが暗くなり始めた頃に出向した、
2階のゲストデッキの天井には青いバナナの房がくくり着けられていた
1週間もすると黄色く熟して食べられるとの事だった
そして、船のクルーが言った一言がこのトリップが最高の思い出となる幕開けだった。
「メンタワイボートトリップへようこそ!
現時点でメンタワイのポイントには一隻も船は出ていませんので
このメンバーでメンタワイ、貸し切りです!」
通常、メンタワイのベストシーズンは3月くらいから徐々にサイズアップしてくると言うが、
僕らは比較的早めのアーリーシーズンを狙ったからだ。
初日からのサーフィンを夢見て、揺れる船内のベッドで早めの就寝!
ガラガラガラ~ガラ~!と言う音で目が覚める。
イカリをおろす音だ。
ポイントについたと言う合図でもある。
船底のベッドからデッキへと向かうと、
そこは頭~頭半位のファンウェーブのレギュラーの波がブレイクしていた、
無論 誰もいない。
皆の顔から無意識に笑顔がこぼれる、ワックスアップして船からダイブ。
水を得た魚のようにドロップを繰り返す、久々のロングライドに早くも肩はパンパン!
まだ初日のR1なのに...。と皆で笑う。
船にはコックさんも乗船してるので、
海から上がるとおいしい食事が出来てて、ビールやジュースは飲み放題!
来る日も来る日もサーフ、サーフ、サーフ!
だんだん体も慣れて来て調子が上がってきてチャージする
慣れた頃に波にもまれ、リーフにヒットして脇腹と肘にクラッシュ、擦り傷程度だが涙が出る程痛い!
2、3日で痛みもひくが、巻かれるのに抵抗があり、少し奥病に.....。
そんな毎日を過ごすうちに何だか感覚が麻痺してしまう、
雑誌やビデオでしか見た事の無いポイントの波が常に目の前にあるのだから
誰も入っていない最高のブレイクをボートの上からボ~と座って見ながらビールタイム。
まさに至福の時!
帰る日が近づくにつれ、ラウンドの回数を増やすが
体がついていかない、欲張っても限界があるんですよね。
思う存分サーフィンしていよいよ帰り、
メンバー達からは寂しさの中にも笑顔が溢れてました。
僕の中でこのトリップは最高の思い出となりました、
仲間、場所、シチュエーション、その全てのタイミングが最高に重なりました。
「死ぬまでに一度でいいから」と家族に言い放ち行ったこのトリップ、
やはり一生に二度、いや三度はいきたいなと思う今日この頃。
至福の時よもう一度!




surf column中田 嘉直(ナカタ ヨシナオ)
1回目 2010/10/20 『Power of Kyushu』
2回目 2010/11/4 『Country』
3回目 2010/11/17 『至福の時』
4回目 2010/12/1 『Surf&Music』
 
 
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