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skate columnSKATE COLUMN 2010/9/15  
森田 貴宏
株式会社FESN/代表取締役
スケーター、映像作家、グラフィックデザイナー、ブランドオーナーとして
株式会社FESNの全てを統括する。
スポンサー/FATBROS、WOM、REDI、STRUSH WHEEL
スケート歴/21年
1回目 2010/9/15 『FAR EAST SKATE NETWORK』
2回目 2010/10/6 『スケートビデオ』
3回目 2010/10/20 『日本のスケートビデオ』
4回目 2010/11/4 『スケートエンターテイメント』

『FAR EAST SKATE NETWORK』

こんにちわ。
はじめましての人も多いと思うので簡単に自己紹介させて頂きます。
森田貴宏です。
スケーターです。
ベトナム戦争終戦の年1975年、東京、杉並区に生まれました。
父は九州、福岡、大牟田というところの出身です。
母は満州から引き上げて群馬は伊勢崎というところの出身です。
まあ要するに福岡人と群馬人のハーフということです。

しかしながら自分は生粋の東京生まれ、東京育ちでございます。 
FESNという映像プロダクション、
LIBE BRAND UNIVS.というストリートウェアを東京の中野で作っています。
御紹介頂いた友人のドラボンとの関係は彼の以前のコラムに書いてある通りです。
ええ、間違いございません。 
ドラボンTシャツ着てたからドラボンです。
今まで自分が付けてきたニックネームの中でも
ベストなものとして残っている一例だと思っております。ハイ。
ドラボンといえばですが、彼のコラムにもあったように
DVD「overground broadcasting」というものがありまして。
それを監督したのが自分でございます。
構想から制作、編集、撮影、音楽監修、デザインと全てにおいて自分が噛んでおります。
自分の感性に乗っ取った上で仲間達と一緒に作り上げた作品でした。
っということで、やはりここは自分のキャリアの中で絶対に外すことの出来ない
FESNというビデオプロダクションについて書きたいと思います。
どうぞ御付き合いの程、宜しくお願い致します。

・なぜビデオを作り始めたか?
→始めたのが95年、当時、自分から見て「イケてるなあ」と思うスケーター達が
なかなかメディアに出れなかった現状がありました。
自分ももちろんそういう場所にもっと出て行きたかったし、
そのチャンスは待っているだけでは難しいと感じていたということが最大の動機。
それと自分は昔から音楽が凄く好きでした。
自分が良いと思う音楽を存分に使ったビデオというのを作ってみたいというのも
ビデオ作りを始めるきっかけだったと思います。

・なぜFESN(FAR EAST SKATE NETWORK)という名前にしたか?
→世界地図上での日本の位置。
太平洋上、日付変更線を基準に極東を位置する国が日本です。
「日出る国とは」日本が世界で最初に日付が変わる国。
その名である極東(fareast)を取りました。
そして日本各地にいる無名のスケーター達を発掘しようと
ネットワークを張ってその映像を発信しようと考えた為、
(skate network)という言葉を後ろに付けました。 
それが94年の冬、当時19歳だった自分が志した現在まで変わらないFESNの名前の由来です。
いつかは海外にも発信出来るようなビデオとして恥ずかしくないように、
外国人でも意味が的確に分かるよう考えた名前がFESN(FAR EAST SKATE NETWORK)ということです。 
しかしながら実はまだ他にもこの名前を決定つけた理由はあります。
でもいずれまた自分のビデオでそこのところは御教え致します。 どうぞ楽しみにして下さい。

・今までに何本のビデオを作りましたか?
→発表(発売)したビデオは全部で14本。
そのうちの3本はミュージシャンの作品です。
それ以外に編集、監修をした作品が2本。
また発売していない音楽クリップも今までに3つ作りました。
95年からFESNを始めたので今年で15年。
15年中14本のFESN作品を作ったのなら年間約1本の発表ということです。
発表ペース的にはまあ良いんじゃないかと思ってます。

・今までの作品で個人的に特に印象に残っているものは?
→2000年の12月15日に発売した「43-26」という5作品目のビデオ。
初めて600人を収容出来る劇場スペースを借りた試写会を企画し、
同年の12月4日中野ゼロホールにて無事試写会を成功させました。
そしてこのビデオで初めてサウンドトラックCDを発売し、一般流通の量販システムを作りました。
何かと自分にとって初めてのことが多かったビデオだったので特に印象に残っています。

っとまあこんな感じで自問自答スタイルで少し書いてみましたが、
正直自分的に飽きてきた(約10分間)ので、すぐさまスイッチさせてコラムの方続けさせて頂きます。
まあ要するに自分、森田貴宏っていう人間は
本当にスケートバカ、そして本物のスケートビデオバカでございます。
マジになりすぎてビデオとスケボー片手に日本全国全ての都道府県に行きました。
が!しかし!それでも満足出来ずに2001年からはアメリカに行きました。
ヨーロッパにも行きました。
何度も何度も行きました。
今まで作ったビデオの売り上げと、自分で得た給料の全てを旅費と生活費に使って海外に行きました。
また自分は妙なこだわりが死ぬ程沢山あります。
そのこだわりの1つに
「ダサいビジネスコネクションなど使わずにリアルストリートコネクトだぜ!」
なんていうこだわりがあった為、だいぶん遠回りもしました。
そうして死ぬ程苦労して集めた海外映像と、
国内トップクウォリティの映像を足して1本の作品に完成するまで、実に7年間の歳月を要しました。
そのDVDがドラボンのコラムにも書かれた「overground broadcasting」という作品です。

95年から続けてきた日本国内のローカルスケートシーンを繋ぎ合わせたビデオプロジェクト。
それがFESN。
その最終章を飾るのが「overground broadcasting」の制作と自分で決めていた。
その考えで海外の1流達と撮影したいという気持ちで自分はまずアメリカに行きました。
アメリカのローカルスケートシーン、世界のそれを実際に見て、体験して1つのビデオを作りたかった。
海外と日本のスケートシーンが対等なものであるべきだと自分は考え、そしてそれを望んでいました。
同じ人間なんだからそんなに変わりはないんじゃないの!ってな思いで海外の現場に実際に行ったわけです。

だけども実際は全然違いました。
フィラデルフィアに行った時。
自分がずっとインスピレーションを貰っていたライダー、リッキーオヨラと一緒に
ストリートをプッシュしたとき、それはすぐに違うと感じた。
サンフランシスコのピア7に行ってデニスブセニッツのノーズスライドを見たとき、それは違うと感じた。
デラックスのオフィスに行って工場を見学しろと勧められたとき、それは違うと感じた。
ニュージャージーのプールでスケート中に逮捕されたとき、それは違うと感じた。
ポートランドのバーンサイド、ハロウィンパーティーの日の
ローカルライダー総出のスケートセッションに混ざったとき、それは違うと感じた。
同じくポートランドのナイキパーク、
まだ10歳やそこらのキッズ達が8段くらいのハンドレイルで真剣にキックフリップF/Kグラインドを
何度も何度もみんなでトライしている姿を見たとき、それは違うと感じた。
LAのリトル東京、公衆便所の中で巻き込まれた事件の現場、それは違うと感じた。
イギリスのブリストルでマジックマッシュルームが新鮮さを保って販売されている場面を見たとき、
それは違うと感じた。
ロンドンのスケートフェス、来場しているスケーターのほぼ全員が
イギリスブランドのデッキを乗っている状況を見たとき、それは違うと感じた。
デンマーク、コペンハーゲンの友人が巻いてくれたバーンドジョイントを見たとき、それは違うと感じた。
そして1番最初に行ったニューヨーク、
2001年9月11日、泊まっていたブルックリンの部屋から起きてすぐ見たマンハッタンの街、
そこでさらにテレビを付けてニュースを見たとき、それらは全く違うと感じた。

日本と外国。 全然違う。 
日本とアメリカ。全然違います。 
貧しい人とリッチな人の差。 
街のチンピラの目つき。 
警官の態度。
コンビニの店員。 
ストリートのプッシャーの数。 
女の子のセックスアピール。 
一人一人の自己主張の強さ。 
ホントに言い出せば切りがない。

しかし自分が感じたその最たるもの。
自分にとって1番の違いと感じた感覚。
それは一人一人の「スケーターの温度」です。
スケーターのハングリーさ。
スケーターがそれで食っていこうとするときのストイックな姿勢。
スケートビジネスに関わっている人間達が見るライダー達への厳しい目線。
スケーター達のスケートビデオを見る時の目線。そしてスケーターの誇りの高さ。
とにかくそれらが全く違う。

自分が「overground~」を製作中に海外で貰ったもの。
ホントに沢山ありますが、1番は「一人のスケーターとしての尊厳」だと思います。

先日新しいDVDを作りました。
2年ぶりのスケート作品です。
現在の自分の生業「LIBE BRAND UNIVS.」という自分のウェアブランドのDVDです。
ドラボンと自分で1つのスケートストーリーを作り、メッセージを発信しています。 
海外にもこれから送っていくところです。
今までで最高の出来と自負していますが、今までで最低の値段です。¥1,050です。
なんで今このタイミングでそんな値段のDVDをFESNで作ったかは次回のコラムで書きます。
「overground broadcasting」の制作秘話、
発表後の海外からFESNへのアクセス秘話も次回書こうと思います。

とにかくFESNが新しいDVDを作りました。¥1,050です。本編80分です。
ボーナス入れると100分以上あります。全て撮り下ろしの内容です。
出来ればこのコラムに御付き合い頂いた方々、
是非1度、御視聴して頂けると次回のコラムがより分かりやすいと思っております。
これを機にどうぞ宜しくお願い致します。
ジャケットデザインも載せておきます→
それではまた次回のコラムまで。FESN森田貴宏がお送り致しました。


skate column森田 貴宏
1回目 2010/9/15 『FAR EAST SKATE NETWORK』
2回目 2010/10/6 『スケートビデオ』
3回目 2010/10/20 『日本のスケートビデオ』
4回目 2010/11/4 『スケートエンターテイメント』
 
 
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