interstyle magazine
 COLUMN

skate columnSNOW COLUMN 2014/4/2

 

Ranran.(山下継一)
1972年生まれ。高知県出身、長野県上水内郡在住。
今年、活動15年を迎えた映像作家、mdm productions(旧mental digital movies)主宰。
スノーボード歴22年。今もなお、更に楽しみ続けているスノーボーダー。
代表作品「CRUISE CONTROL」「THE GRAVURE」「LOVING」シリーズ等、
2000年~2009年まででスノーボードムービー13作品をリリース。
Web site:http://www.mentaldigitalmovies.com/
ブログ:Ranran.目線http://www.mentaldigitalmovies.com/blog/
1回目 2014/4/2 『山』
2回目 2014/4/16 『ご縁』
3回目 2014/5/21 『Back to 90’s』
4回目 2014/6/4 『滑り続ける』

『山』

花も咲き、春爛漫!気持ちいいですね。
山はまだまだ雪たっぷり。スプリングシーズン楽しんでますか?
皆様こんにちは。
南浦高志氏からコラムを引き継がせていただきました、フィルマーのRanran.こと山下継一と申します。
今回から4回ほどお付き合いくださいませ。
まずは自己紹介がてら感じることを書きたいと思います。
僕の出身は高知県。
高知といえば全国から波を求めてサーファーが集まり、一般的には海のイメージが強いと思いますが、
僕はその中でも生粋の山育ち。愛媛県との県境にある山奥の村で生まれ育ちました。
その村には「天狗高原」という小さなスキー場があり、里のほうでも年に何度か積雪があります。
子供のころは年に何回かある村の雪景色に心躍らせて興奮していたのを今でもはっきりと覚えています。
そして高校を卒業後三重県鈴鹿市の某自動車メーカーに就職し、鈴鹿市でスノーボードに出会いました。
13年サラリーマンを続けながらサンデーボーダーとして滑りつつも
同時にスノーボードムービーを制作していましたが、
結局2004年脱サラし、2006年より長野市に移り住むことに。
いろんなモノや人との出会いやきっかけが絡み合い、四国で生まれ、三重県で仕事をしていたのが、
気がづけば長野で家族を持ち雪と山と仲間に囲まれて生活をしています。
縁とは不思議なものですね。
僕の実家の隣の集落は”黒川”といいますが、今住んでいる集落も”黒川”。
そして飯綱山の神様も”天狗”、僕の実家のある村の山も”天狗高原”
なにか不思議なご縁を感じてしまいます。

【飯綱町から見える山々。左から飯縄山、高妻山、黒姫山、妙高山】

さて、自己紹介はさておき今回のお題『山』。
もともと生まれ育った所も山の中だったのですが移り住んだ長野も海のない山ばかりの土地。
北信エリアは2000m前後の山から1000mクラスの里山に囲まれ、どこを見渡しても山、山、山。
個性のある独立峰が目を楽しませてくれます。
北信五岳と呼ばれる5つの山は特に個性的で
我が家からも西に飯縄山(1917m)、戸隠連峰/高妻山(2353m)、黒姫山(2053m)、
北西に妙高山(2446m)、北に斑尾山(1382m)と
更には東に高社山(1351m)、志賀高原/笠ヶ岳(2075m)、
東南に菅平高原/根子岳(2207m)と個性豊かな山々に囲まれて生活をしています。
こんな個性的で立派な山に見守れて生活をしていますが、
興味がないという方も以外に多くて、
地元の若い方でも20年以上そこで暮らしているわりには
山を見て名前が分からなかったり、気にして見たことがないって人もいます。
僕は移住してきてまずこの景色が気に入ったので、
そういう人を見ると少しもったいないというか寂しく思います。
皆さんの住んでるところの景色に山はありますか?
なんていう名前か分かりますか?
山の形と名前が一致して各々の山の位置関係を覚えておくと、まず方向音痴が軽減されます。
晴れていれば、
あの方向にあの山が見えて、この方向にこの山が見えるってことは自分はこの位置にいるとか、
あの方向に向かえばどこそこに行けるなどと少し便利に活用できます。
東京なら超高層ビルやタワーがその代わりになるのでしょうか?

【意味深な看板。いろいろな迷いを山が救ってくれるということでしょうか(笑)】
ま、いずれにせよ一つずつでも山の名前や形を覚えてあげて
少しでも気にして生活をするだけで暮らしの楽しみが増えたりします。
今まで気にしてなかった遠く彼方に小さく見える山も気にしてあげることで
天気のいい日や空気の澄んだ日に
「今日は○○山、見えるな」とか
「○○山、雪積もったな」とか
何気ない日々の楽しみや会話のきっかけができたりします。
そうして名前も覚えていくと今度は登ってみたくなります。
「普段見ている山から見てこちらはどう見えているんだろう?」
「あの山から見てあの山はどう見えるんだろう?」
興味はつきません。
そうなったら一度天気のいい日に登ってみてください。
山頂からの眺めを体感してみてください。
今まで感じなかった感情がこみあげてきます。
これで登山にハマったりします。

【小さな娘を背負い登山】

【飯縄山山頂から見える長野市】
一度名前を覚えてその山に登る。
そうすることで今度はその山が少し違う感情で見るようになります。
山と触れ合ったことで、今までよりはその山に親近感が湧き、
見るたびにもっと知りたい、もっと近づきたいと思うようになります。
人間関係もまずは相手の顔と名前を覚え、気になったら交流を深め、相手をもっと知ろうとしますよね。
僕は山との関係も、まるで人と人同士の関係のように感じます。
そうなっていくと”○○山”を”○○さん”と呼ぶようになったりして(呼ばないか…)
暮らしの中で山や自然に対して親しみや愛着、あるいは畏敬の念が湧いてきます。
日本古来からの自然や山に対する信仰は、もしかしたらこういう考えの延長なのかもしれませんね。
山から見たこちら。
他人から見た自分。
山の中を歩く。
人の内面を知る。
別の角度から見る山。
別の角度から見る人。等々
山との関係は人との関係を考えさせてくれます。
まずは目の前の気になる山から仲良くなってみてください。
天気のいい日に山に登り、山を感じて自然に触れ合う。
これだけで何気ない日々のストレスも解消され自分と向き合えたり、自然と向き合えたりすると思います。
そして、もしその山がたっぷりと雪を蓄えた山なら…
また更なる楽しみのために日々向き合えると思います。

仲間と雪のある黒姫山山頂】

【冬の飯縄山山頂】
山と仲良く、人と仲良く。
Peace!

snow columnRanran.(山下継一)
1回目 2014/4/2 『山』
2回目 2014/4/16 『ご縁』
3回目 2014/5/21 『Back to 90’s』
4回目 2014/6/4 『滑り続ける』
 
 
Copy right © INTERSTYLE Co.,Ltd All Rights Reserved.