interstyle magazine
 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2007/9/5  
ジョージ・カックル
鎌倉で生まれ育ち、その後サンフランシスコに移り住んでアメリカ人らしくなってから、再び鎌倉に戻り、早10年。現在ではインターFMや東京FMでパーソナリティをつとめる。
毎週日曜9:00~13:00『レイジーサンデー』(76.1Mhz)
毎週土曜20:00~20:30『スタイル・カフェ』(80.0Mhz)
1回目 2007/8/22 『What is surfing?』
2回目 2007/9/5 『Put Your Foot Down And Go』
3回目 2007/9/12 『3R’s』
4回目 2007/9/18 『サーフトリップ』

『Put Your Foot Down And Go』

 例えば、君が沖でラインナップして順番を待っているとしよう。風は優しいオフショア、うねりは大きく、通り過ぎた波は唸り声のように響いている。そこには君ともうひとりしか残っていない。君はどうする? 一瞬にしてさまざまなことを考えるだろう。波を譲るか、譲られたとしたら、彼がなぜ譲ってくれたのか。次にはもっと大きい波がくるかもしれない。でももしその波に巻かれたら…。さまざまなリスクが頭をよぎる。

 僕は海に入る前、10セカンドルールをアプライする。このルールというのは10フィートの波は、波と波の間隔が10秒以内になると危ない。8フィートなら8秒以内が危ないということだ。もしそれ以内に波がくると、巻かれて上がって来たときに、再び巻かれて息が続かなくなるからだ。このルールは昔、サンフランシスコのビッグウエイバー、マーク・ドック・レネカーが教えてくれた。彼はドッグ・ハザードという名前でも知られている。サンフランシスコの海は簡単に出られるチャンネルがないから、サーファーは入る前に波を見て、計算しなくてはならない。このルールは、彼が海に入る前にカウントしているのを見て、直接聞いたものだ。
 でもそれぞれこのルールの秒数は違う。マーク・レネカーは10セカンドルールだが、ある人は5フィートでも8秒かもしれない。自分がどこまで自信を持っているかで、その時間は違うんだ。
 大きい波に行くときは、リスクを背負えるかどうかにかかっている。リスクを背負え切れず、波に乗る瞬間に、一瞬でも立ち止まったら波の上から落ちる。落ちてから、あっと気付くんじゃないんだ。落ちる前に、あっと思うんだ。立ち止まらないように、しっかりと自分をつくっておくことが肝心だ。
 サーフィンはコミットメントだ。100%コミットできなければ、ワイプアウトする。波の大きさは関係ない。膝腰の波でも、コミットしなければワイプアウトする。波が大きいほど、リスクも大きい。そのリスクを背負えないならチャレンジを取ってはだめだ。チャレンジできる自分になることだ。巻かれている間、息が続くことが肝心だ。巻かれても大丈夫だと自信があれば、乗るだろう。実際には大きい波でも小さい波でも、乗ることには変わりはない。違いは、落ちて上がってくるまでの時間だ。リスクは巻かれたときだけに、発生する。仕事も同じだ。自信がないから引き受けないほうがいい。仕事も大きければ大きいほど、リスクが大きい。経済的なリスクかもしれないし、精神的なリスクかもしれないし、肉体的なものかもしれない。この3つは正三角形だ。サーフィンでも肉体的についていけなければ、精神的にもついていけない。身体に自信がなければ、巻かれたときパニックになる。波が大きいほどサーフボードも折れる可能性がある。サーフボードを買う経済的な余裕もあるかどうかだ。仕事もサーフィンも同じだ。人生も同じことがいえるんじゃないだろうか。
surf columnジョージ・カックル
1回目 2007/8/22 『What is surfing?』
2回目 2007/9/5 『Put Your Foot Down And Go』
3回目 2007/9/12 『3R’s』
4回目 2007/9/18 『サーフトリップ』
 
 
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