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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2008/8/6  
佐藤 誠(サトウ マコト)
7月6日生(CKBの剣さんと一緒) 株式会社サンコー代表
07年4月九十九里一松海岸に、ウエット工場「BPD.BeachPleasureDeveloper」始動。BeWET/Delphiのほか、OAKLEY/PATAGONIA/HURLEYなどカリフォルニアブランドのウエットプロデュースを手がける。BPD屋内には、東京で閉園となった幼稚園の床材を移築した多目的室があり、サーフレクチャーや地域活動の拠点に使われている。現在、BeWETと代官山UNICEがコラボしたSUMMER_FESTA主催。
1回目 2008/7/16 『サーフィンしたいシンドローム』
2回目 2008/8/6 『ウエットスーツの暖かさについて考えようと思う』
3回目 2008/8/20 『SURFDRYの功罪』
4回目 2008/9/3 『最高のWETSUITSを提供する "HEART"』

『ウエットスーツの暖かさについて考えようと思う』

そもそもウエットスーツの保温メカニズムは、どうなっているのだろうか?

衣服の保温機能であれば、皮膚表面に滞留する空気層が32℃前後に保たれるように、
冬は開口部を小さくし熱量をキープするよう断熱性を高める。
また夏は開口部を多くし通気性を確保するが、裸でいる方が涼しいわけではない。
人は、気候に適した機能を意識せずに選択している。

ウエットスーツの場合、適度な締め付け力によって
ウエットスーツスポンジと皮膚表面の間に挟まれた海水が衣服の空気の代わりとなる。
もし適度な締め付けが得られない時、スーツ内の海水が大きく流出入し、体温を大幅に奪ってしまう。
つまり、身体にサイズが合っていないスーツは寒くて危険だ。

ウエット内に入った海水は、すぐに皮膚表面から熱を得て暖まる。
この暖まった海水の熱を外部(海中)に奪われないようにスポンジの壁が隔てている。
サイズのフィットしたウエットは、最初の海水の流入時さえ我慢すれば、冷たいのは一瞬の我慢だ。
ウエットの暖かさは、スーツ内で暖められた海水をいかに冷やさないかに尽きる。

体温(熱量)の、伝わり方(奪われる)は、「伝導」、「放射」、「対流」の3種類が考えられる。
ウエットを暖かくするには、それぞれに対する理解と工夫が必要だ。
「伝導」は、直接触れて熱が伝わることをさす。
a.皮膚とスーツ内の海水、
b.スーツ内の海水とウエットスーツ、
c.ウエットスーツスポンジ
と海中あるいは外気が、それぞれ直接触れ合っている。
a.皮膚と海水の熱伝導は防げないから、
ようは、スーツ内の海水の熱がウエットに伝わりずらくすれば、暖かいウエットとなる。
高機能ウエットの場合、裏地のジャージに中空糸(中央に空洞がある糸)を用いて空気の層を作り、断熱効果を高める。
「伝導」では、水(液体)より空気(気体)の方が熱が伝わりづらいことを利用している。



「放射」は、熱量が電磁波となって放出されることをさす。
太陽の電磁波(光も電磁波の一部)に照らされると暖かいのが放射熱。
遠赤外線の調理や電子レンジも同じ電磁波の利用方法。
この電磁波は、光と同じように反射するので、宇宙服やサーマルブランケットの断熱技術に用いられている。
その構造は、アルミ箔とポリエチレンの網を何層も重ね「反射層」を作り、熱が外部に流出する事を防いでいる。
当社では、裏地ジャージに「銀AG」と「チタン」をナノ電子レベルでコーティングし、2層の金属膜を作り、
ウエット内で暖められた海水の熱(電磁波)がチタン層に遮られウエットスポンジに伝わる前に反射し、
体温が海中に放出されることを防いでいる。



「対流」は、海水の流出入に暖かさが直結している。
暖かく、快適なウエットスーツは、真冬のサーフィンを極上の楽しみへと導いてくれる。
高度な技能を身につけたスタッフから、JWMA(日本ウエットスーツ工業会)準規の採寸を受けて欲しい。






surf column佐藤 誠(サトウ マコト)
1回目 2008/7/16 『サーフィンしたいシンドローム』
2回目 2008/8/6 『ウエットスーツの暖かさについて考えようと思う』
3回目 2008/8/20 『SURFDRYの功罪』
4回目 2008/9/3 『最高のWETSUITSを提供する "HEART"』
 
 
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