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surf columnSURF COLUMN 2013/9/2  
高橋 淳
1977.3.3生まれ。高校生の頃、ファッションに傾倒。
雑誌、ASAYAN, POPEYE等でモデルを務める。
18歳よりサーフィンを始め一気に方向転換、外房太東をベースにソウルサーファーの道を歩む。サーフショップスタッフ(KENNY SURF SIDE)、波情報のスタッフ(なみある?)としてサーフィンの現場に携わる。
その後、アート、デザイン、横乗り文化を軸にした、“culture shop 11:11”を主宰。
現在、月刊サーフィンライフ(マリン企画)にてエディターとして働く。
1回目 2013/8/21 『HEY HO LET'S GO!!』
2回目 2013/8/28 『ALTERNATIVE』
3回目 2013/9/2 『BEATNIK』
4回目 2013/9/18 『HIP』

『BEATNIK』

どーも、皆さん。高橋 淳です。
ガンガン行きますこのコラム、第3回目のお題は『BEATNIK』。
『BEATNIK』という言葉を知っているでしょうか?
日本では『ビート族』なんて呼ばれていたらしいです。
『ビート族』を調べてみますと、
現代の常識や道徳に反抗し、無軌道な行動をする若者たち。
第二次大戦後、米国を中心に現れた。ビートニク
(小学館 デジタル大辞泉より)
と書いてあります。
彼らは、サーフィン、スケート、スノーボードを含む、“カウンターカルチャー”の始まりを作った人達です。
まだ、社会に横乗りが文化として現れていなかったその時代に、
“文学”を手にし、あらかじめ与えられていた人生を捨て、まだ見ぬ世界を見に行くための旅に出ました。
こうして“ドロップ・アウト”という言葉が生まれました。
“自分探しの旅に出る”なんて小っ恥ずかしいフレーズがありますが、彼らはそれを行いました。
決して元の世界には戻らない覚悟で。
街での、世の中の仕組みの中での暮らしをしていると、
どうしても、生き物としての基本、体感から学ぶという事を、
少なからずともちょっとは捨てずに生活はできません。
そこに反抗し、なりふり構わず、“やろうと思ったことはすべてやる”ということは、
“社会からの抹殺”を意味します。
想像してみて下さい。
怖いですよね... 
でも、彼らはやりました。
旅、ドラッグ、禅、自然回帰、云々... と、
きっと人間ならば、誰もが本能的に憧れるものを片っ端から実行しました。
しかし、他者や社会とは切り離せては暮らせないのもまた人間。
そういうことばかりし続けると、確実に自分を見失うことになります。
皮肉ですね。
しかし、そうして錯乱した状態こそが見つけようとしていた、
ありのままの自分ということになります。
そしてそこからどうするのか?
彼らはその状態をも“言葉”にすることで、人に伝えていき、バランスを保ちます。
自分の虚栄心、羞恥心、そんなような他人から自分を守る気持ちを全て脱ぎ去り、
人前に生身の姿をさらけ出す。
これはできそうでできないことだと思います。
岩のように硬く、荒々しい存在でありながら、
常に転がり続けることで、泥やコケに覆われることなく、常に新しい輝きを保ち続ける。
“ロック&ロール”が生まれました。
ちなみについ最近、オリジナル『BEATNIK』であるジャック・ケルアックの作品、
“On The Road”という本の映画が封切られました。
僕は近々、見に行ってみようと思っています。


なんだか小難しい話をしてしまいましたが、
サーフィンにはまると、誰もがきっと、若ければなおさら、そんなことに憧れちゃうんじゃないかと思います。
もちろんみんながみんな、こんな話を真に受けて実行してしまっては大変なことになります。
ほぼ100%身の破滅に至るので、良い子の皆さんは真似しないで下さい。
悪い子の皆さんは覚悟の上、とことんやってみてください。
伝説になれるかもしれません。
やはりミッキー・ドラはサーファーの永遠のシンボルだと思います。
そして、それはデューク・カハナモクの庇護のもとになのですが...


『BEATNIK』を語る時に外せない1人の博士がいます。
その名は ティモシー・リアリー。
ハーバード大学の教授だった人で、幻覚剤を用いた研究で、意識の自由の訴えたことで有名です。
そんな話から、“アブナい人”のように取り沙汰されがちですが、
晩年は幻覚剤ではなく、もっぱらコンピュータの可能性について語っていたといいます。
彼が一貫して伝えようとしていたことは、
創造的に生きるための力を強めることや、自分自身で考えるということです。
その博士が、かつてサーファーについてこう語ったといいます。
「人間の最終目的は、純粋に美的存在に到達することである。
すなわち、人類はこれまで主に自分を守って富を得るという、
より低い次元で進歩してきたが、
サーファーは本質的に一般社会が気づくよりもずっと早く高い次元に達した」
その言葉を受けて、非常にインテリジェンスに溢れたサーフィン雑誌
“サーファーズ・ジャーナル”を作るスティーブ・ペズマンはこう解釈します。
「サーファーとは人類全般の進む方向を探るため、
皆よりも列の先頭へ出され、道なき道を歩まされているのだ。
つまり、サーファーは“Be Here Now(今、この時間)”というサーフィンの奥義に向けて、
純粋な目的のためだけに生きていることが高い次元にいることの証明だ」と。
そして大切なのは、リアリー博士が続けて
「サーファーは一般の人々に海で教わったことを伝えなければいけない」と言っていることです。
つまり、例えば、「サーファーは最高な思いしてるんだから、海に入った後には、
いつもよりちょっとだけ人に優しくしましょう!」ってようなことじゃないのかなと、僕は思っています


Bob Dylan – Like a Rolling Stone (Live 1966)
From the film No Direction Home. Performed at Manchester Free Trade Hall.


surf column高橋淳
1回目 2013/8/21 『HEY HO LET'S GO!!』
2回目 2013/8/28 『ALTERNATIVE』
3回目 2013/9/2 『BEATNIK』
4回目 2013/9/18 『HIP』
 
 
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