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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2014/7/16  

田原 啓江
2001年JPSA公認プロサーファーとしてデビュー。
ツアー優勝経験もある息の長いトップ選手として活躍中。
女の子為のサーフィン大会やイベントも開催し、選手のみならず後進の育成にも努める。
1回目 2014/6/18 『メンタルを鍛える』
2回目 2014/7/2 『フィジカルを鍛える』
3回目 2014/7/16 『感性を磨く』
4回目 2014/8/6 『積極的に生きる』

『感性を磨く』

こんにちは。田原啓江です。
コラム連載の間に、すっかり季節も夏らしくなりました。

先日は今年初のこの季節にしては珍しい台風スエルも入り、サーフィンがますます楽しい季節です。
日の出も早く、朝は露の降りた新緑が美しさを増す心地よいスタート。
多くの方がこの時期に海に出掛け、自然に触れて癒され感性を磨いて下さると嬉しいです。


さて今日は、1回目のコラム「メンタルを鍛える」、そして2回目のコラム「フィジカルを鍛える」に続いて、「感性」についてのお話をしたいと思います。
どんなに強いメンタルやフィジカルを持ち合わせていても、その方向性や舵取りになる自分の感性が磨かれてなければ残念な結果になることもあります。
何より大切なことは、もしかすると・・この「感性」なのかも知れません。
サーフィンの素晴らしいところは、この感性を自然に養うことができるところ。
うねりを感じ、風を読み、潮を読み、大地のパワーに包まれながら人間が本来生まれ持った五感、さらには第六感が刺激されます。
太古の昔。身に迫る自然災害や危険を回避した人々の感性や感覚は、今の私達よりもさらに研ぎ澄まされていたことだろう思います。
もちろん現代社会の日常生活のなかでは、360度不安定で危険にさらされている状況は考えられません。そういった点でサーフィンはやや先祖返りのような気もしますが・・自然の中で動物本来が持つ感性や感覚を取り戻すことができる疑似体験のように感じます。
波の良い夕暮れに美しい夕日に染まった空と大地の狭間で、波を待つ瞬間。静かな夜明けを波と戯れながら迎える瞬間。「ここに。この瞬間、生きていること」に自然と感謝の気持ちが沸いてくるのも、この感性がまさに刺激された瞬間。

サーフィンがライフスタイルになり、サーファーという生き物が特殊な文化を持ち合わせているのも、その特別な感性を共有できる言語でも持ったかのような錯覚に陥るのもそのせいではないでしょうか?
そんな直観的に似た感性に秀でたサーファーは、もちろん分かりづらい現代社会を比較的にうまく泳ぐ術を身に付けていることでしょう。
そしてこの感性というものも「磨く」といわれるように、自己鍛錬によってはさらに研ぎ澄まされた素晴らしいものになるようです。
世にいう一流プロスポーツ選手として活躍する多くの選手の重大な資質として、この「感性」に秀でて、さらに自分の感性にゆるぎない自信を持つことが挙げられます。
一般に、一流プロスポーツ選手は「わがまま」だと言われています。
イチローは、ストレッチをしただけでマウンドから引きあげてしまうこともあるそうです。
野茂投手は、日本でさんざん「変な投げ方を直せ」とコーチに言われても無視したそうです。
多くの指導者との出会いや試行錯誤のなかで、間違えた選択で致命的な故障をして選手生命を絶たれることなく活躍できるのは、自分の感覚や感性にゆるぎない自信を持っているせい。
自分の感覚やスタイルを信じる自信や強さです。
常に研ぎ澄まされたその感覚は、時に「わがまま」に映りますが、一流の人間が持つ「自分自身を知り尽くす繊細さと敏感さを要する鍛錬」の上に築かれたものに違いありません。
人は案外、自分自身のことすら良く分かっていません(笑)
教えられた通りに従うのは、もしかしたら他人任せで無責任な選択かもしれないですね。
知ることへの努力を怠っています。
確率論の数字も自分には当てはまらないかもしれないし、ましてやインターネットのレビューであればなおさら当てにならない。
また自分の感性を信じて進むことは、時として周囲との摩擦も起きるかもしれないし、それだけの自信がないと貫くことは難しいかもしれません。
フィジカルもメンタルも、どうでも良いと思う感性があればそれでもいい。
根拠がない勘は不安が付き物ですが、磨き抜かれた自分の感性は自信を与え自由にしてくれます。
教科書通りじゃなくていい自信。
自分オリジナルでいい自信。
もっと自由に自分らしい毎日を送ることが大事です。
自分に磨き抜かれた感性があれば、物事はもっとシンプルに選択できるのではないでしょうか?
たぶん、今。身の回りに起きていること。
答えは案外簡単なことかもしれません。
まずは、自分の感性を磨いてみてください。
**LIFEは、やっぱり素晴らしい**
私は、そう感じます。

surf column田原 啓江
1回目 2014/6/18 『メンタルを鍛える』
2回目 2014/7/2 『フィジカルを鍛える』
3回目 2014/7/16 『感性を磨く』
4回目 2014/8/6 『積極的に生きる』
 
 
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