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surf columnSURF COLUMN 2016/2/3  

Kuni Takanami / Photographer
東京都板橋区出身 [1978.8.29] / 神奈川県 在住 www.surftripmagazine.com
2003年フォトグラファーとして独立後2009年までJPSAオフィシャルフォトグラファーを務めた。サーフ系雑誌では何度も表紙や大型の特集を撮影してきたが、2011年の震災をきっかけにかねてから考えていた次なるステップアップのために渡豪する。サーフフィルム界の巨匠テイラースティール監督の元でワールドベーシックな動画の撮影技法やライティング技術を学び、写真家としてそしてフィルマーとして新しい一歩を歩み始めた。
2012年には初の個展を新宿伊勢丹にて開催し、日本を始め世界を舞台に活動、主に人物撮影において高く評価されている。
1回目 2016/2/3 『Surferはモテる!』
2回目 2016/2/10 『ブロンズ狩りとアゴの逆転現象』
3回目 2016/2/15 『写真で食えるか?』
4回目 2016/3/2 『虹と出会う方法』

『Surferはモテる!』

前回まで面白いコラムを書かれていたおヒゲさんこと奈良英司さんは、
昔僕らが遊び場として通っていた町、池袋のカリスマ的大先輩。
確かFineとか全盛期で、
「サーフィンしてたら女にモテる!」っていう噂が蔓延する位サーフィンが流行ってた。
その時にサンシャインで働いてた池袋でめちゃくちゃ有名なサーファーだったのが英司くん。
俺らは当時スケーター上がりで、
サンシャインの裏とかでよく滑ったりしてたクソ坊主で、一緒にいるのは男ばっかり。
常に女っ気がなくて、どうしたらモテるのか?って、多分1日のうち16時間くらいは考えてました。
しかし考えれば考えるほど女の子って寄ってこないんですね。
「引き寄せの法則」には同じことを強く念じろと、何度も何度も念じろ!と
書いてあるんですが、女の子は真逆、真逆に作用していましたね。当時。
中学卒業式のあと暇してて、サンシャインに行ったんです。
そこで見てしまいました。
英司くんの周りに綺麗なお姉さんたちがいっぱいいるのを。
中にはFineで見たこともあるお姉さんもいました。
「これだ!」と思いましたよ。
その夜、僕は同じ野望を持った同志と共にサーファーになる決意をして道具をかき集めました。
翌朝電車で鵠沼へ到着。
春とはいえまだ3月、「ウェットがあればだいじょうぶだろ!」って、
勢いよく着替えたそれはシーガルでした。
当時でもすでに15年は経っているだろうってくらいのビンテージっぷり。
デッドストックも引く古さ。ゴムはパリパリで、ケツが破けてる。
それでも海に入りました。モテるために。


今でこそ乗ってみたいと思える船みたいな1970年代のシングルフィンを担いでいよいよ入水。
一発目からサーファーたちからの冷たい視線を釘ずけにし、
ついでに罵声も浴び、サーフィンが嫌いになりました。笑
ローカルのサーファーさんより、「上がれ」ということで一旦ビーチに戻りまして、
焚き火をして暖をとりながら、ひたすら考え込みましたね。
1、なぜ今自分は怒られているのか?
2、体の震えは寒さから来ているのか?
3、今楽しいのか?

完全に飽きに入っていたそのとき、
沖を見れば必死にパドル(もがいてるように見える)している仲間の姿が目に入りました。
あー、あいつ頑張ってるなって。

「自分は良いのかな?モテないぞ? 童貞のまま死んだらお袋がなくぞ!」って。
それでもう一度入水を決めました。
今でこそ1R=2時間とかっていう配分がわかるけど、
そんなのわかんないし、暗くなる直前まで海に入ってました。 
乗れたのは1本のみ。
でも、あの感動は今でも忘れられません。
波に押され、一気に加速する感覚、そして浮遊感。
やったぞ、これでおれは遂に!見てくれみんな!!!!!!
完全に無視ですね。みんな自分のことに集中しすぎ。
「人は思うほど他人を気にしてない」そう悟りを開けたのがこの時でよかった。
しまいには「乗った!」って言ってるのに、
「いや、見てない。だから乗っていない。」ということになりかけました。

もう。あまりにもムカつくので、じゃあいいよ、と。
もう一回乗っちゃうから見とけ、と。
結局そのあと一本も乗れず。

悔しさと、感動とは飴と鞭の様な関係性でしょうか。
料理でいうところの塩と砂糖というか。
(混ぜると「美味い!」みたいなね。すいません。)

そんな中毒性のおかげで、
あと一本乗ったら、
横に滑れるようになったら、
当て込められるようになったら、
チューブに入れたら、
あの波に乗れるようになったら。
んで22年。
未だにサーフィンにどハマりし、
世界中のまだ見たこともない波を追い求める様になり、
波を撮ることにはまってカメラマンになっております。
サーフィンと出会っていなければ随分と違ったライフを送っていたでしょうが、
今の所後悔は一切ありません。むしろ感謝しています。

日本のサーフィン水中撮影の分野でいえば、
木本さんとか、土屋ターさんとか、神尾さんとか、
チャーさんとか、ユースケくんとか、ケンユウくん、佐原くん、安間くんとか
いっぱい尊敬するフォトグラファーがいるのですが、
また彼らレジェンドとは違った味を楽しみたいときはぜひ僕のウェブサイトにも
遊びに来て頂けたら嬉しいです。



ヤボな話ですが、22年の経験上「サーファーは女にモテる!」は幻ということが判明いたしましたw
女性にモテるどころか、行くところ全部世界の秘境みたいなところばかりだし。
今では開き直って「どうでも良いや、ビール飲もう」という境地までたどり着くことができました。
まあサーフィンに限らず、モテるやつは何やってもモテる!ということで、着地したいと思います。 。



最後になりますが、女子にもてたい一心でサーフィンを始めた
私Kuniこと高波がおヒゲパイセンよりバトンを受けて4回に渡ってこのコラムを書かせて頂くこととなりました。

まあどうせ誰も見てないと思うので、次からは適当にコピペでもしてサボってやろうかと思っております。笑


Just  go with the flow.

Text&photos Kuni Takanami
www.surftripmagazine.com




surf columnKuni Takanami
1回目 2016/2/3 『Surferはモテる!』
2回目 2016/2/10 『ブロンズ狩りとアゴの逆転現象』
3回目 2016/2/15 『写真で食えるか?』
4回目 2016/3/2 『虹と出会う方法』
 
 
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