interstyle magazine
 COLUMN
skate columnSKATE COLUMN 2008/10/22  
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Tomokazu Wura
1977/12/6
Pro Skateboarder&Expertise Skateboards-Director
3度の全日本チャンピオンやオーリーマガジン、スラッシャージャパン、トランスワールドジャパン、ゲートなどでベストスケーターオブザイヤーを受賞。スカパー282ch(skateboarders)のday in the lifeというコーナーでナビゲーターを務める。PanasonicのCMにも出演するなどメディアでも活発に才能を発揮している。
1回目 2008/9/24 『ドッチ派=which way your type』
2回目 2008/10/8 『AMOR BARCELONA』
3回目 2008/10/22 『SK8TERS PROBLEM』
4回目 2008/11/5 『SK8TERS PROBLEM vol.2』

『SK8TERS PROBLEM』

さ~今回はスケーターという人種が持つ特性、様々な問題をテーマに、
ひとつ小話をさせて頂きたく、再び参上致しました。

さ~!スケーターといっても十人十色、
ある意味こんなに多様なスタイルが混在している世界なんて無いんじゃない?
その様々なジャンルやスタイルを持った人間が表現やライフスタイルとして、
そして目標や達成の為、あらゆる主旨を持ってこのスケートボードという舞台で繋がっている。
この世界に魅了されたら、ある意味病気にかかったも同然!
いろんな症状が出て来る。
その症状の中には一般の人には決して理解出来ない行動も多々ある。

ある日の事だった。
駅で待ち合わせをしてて改札をでてから人を待ってた。
まわりを見渡すとなんと5段ぐらいの階段の横においしそうなストレートレッジが付属してるじゃないですか!
お~いいね~!今度また映像撮りに来よ~!とか思いながら改札の方に目を戻すと、
なにやらスケーターっぽいヤツが一人手ぶらで
そのレッジの方に徐々に進んで行ったので観察してみることにした。
縁石から2メートルほど離れたとこで急に止まり、
腕を組み、首をかしげながらそのレッジを睨みつけている。
交通量もそこそこある駅の改札前で一人立ち止まり階段の横の縁石をガン見しているのである。
明らかに浮いている。
しばらくしてヤツも待ち合わせなのかそのレッジに座り込み人を待ってる様子だった。
だが次の瞬間、衝撃的な映像を目にする事になった。
なんとそのお兄さんはバックサイドノーズグラインドをそのレッジでヤッてるじゃないですか!
しかも板無しで!
ヤッパリ思った通りスケーターの様だ。
人によって症状は様々だが彼の場合かなりの重症の様で、
俺も重症の方だけど一人の時にあの領域に入るのはかなりの猛者です。
しばらくすると真面目そうな女の子が、待った~!って言いながら近寄って来て
そのまま何も無かったかの様にその女の子と手を繋いで消えて行った。
客観的に見てみて間違い無くスケーターって病気だな!って思った一時でした。

よく考えるとスケーター特有の癖(スケーター癖)みたいな行動は無数にあって、
スポットを見ると自然にイメージを膨らませ、頭の中で凄い事になってるのは日常茶飯事、
手摺を囲んで数人の男が、ああでも無いこうでも無いと話をする姿はスケーターにとって日常なのかもしれない。
そんなスケーターもちゃんと結果を残してスタイルを成長させて行くにつれて、
日本では一握りかもしれないが、それなりの評価を得る事が出来る。
例えばスポンサーがついて物品や契約金を支給してもらえたり、雑誌で特集を組まれたり、
メーカーから自分のシグネーチャーをリリースしてもらえたり多種多様な評価があるが、
そうなって来るとただの遊びじゃ済まなくなって来る。
ツアーやDVDの撮影などで国内外問わずいろんな土地を転々としたり、
生活のパターンも常にランダムな動きになって来る。
SK8中心の生活になるとまたいろんな問題が発生するという事だ。
ある意味、社会に属さない俺達の生活は、社会人から見るととても不思議らしく、
白い目で見られながら質問攻めにあう事も少なくはない。
スケボーなんかでちゃんと食べて行けるの?とか、
将来はどうするの?とか、
親とか彼女は理解してくれている?など、
就学、就職、結婚、子育て、マイホーム、老後のセカンドライフ、
敷かれたレールを羅針盤に頑張ってる人達の言う事はだいたいお決まりのパターンでユーモアが無い。
心無しかデリカシーやリスペクトも薄まってる様に感じる。
社会的価値観を中心とした勝ち負け崇拝者、もしくは拝金主義者といったところだろう。
ま~個々に持つ哲学や価値観の様な物があるから何とも言えないけど、
人を白い目で見たり、質問攻めしたりするのは根本的にナンセンスな気がするよ。
だけど今回は、この場をかりていくつか質問に答える事にしました。
スケーターは自由で、好きな事だけやって生きてる様に見えるかもしれないけど、
いろんな問題と背中合わせに、日々悪戦苦闘しているという事を
このコラムを通して少しでも理解してもらえれば嬉しい限りです。
まずよく聞かれるのはスケートでちゃんと食べて行けるの?っていう質問、
とてもリアリティーがあって嫌いじゃない考えなんだけど、
無論プロスケーターといっても様々で
スポンサー契約を結ぶ上で契約金をもらっている人もいれば物品支給だけの人もいるし、
日本で今現在プロスケーターという肩書きを持つ人は結構沢山いると思うけど、
実際に生活が出来てる人は極一握りで、プロって基準自体が曖昧なとこもあるのが現状。
アメリカだとシーンで活躍して何かのタイトルをとったりしてシグネーチャーモデルが出た時点で、
プロっていう基準があるけど、日本では判断がとても微妙で中には自称プロみたいな人もいるのが現状だ。
個人的な判断基準で言わせてもらうと、
シーンに結果を残してリスペクトされている人間でメーカーから金銭契約を受けている人間、
もしくは自分のシグネーチャーがリリースされていて金銭が発生してる人間、
どちらにしても業界内で評価されて多かれ少なかれ稼ぎがある人間をプロと言うのが妥当じゃないかな。
だけど事実上そんなスケーターは一握りで、生活出来るのか?という質問に対しても、
ほんの一握りのプロだけというのがリアルな回答になる。
若い人達の夢を壊すつもりじゃないけど、その一握りになるのは至難の業で、
その中に入れたとしても、将来が約束されるほど稼げる保証はどこにも無い。
鬼の様な競争率とあまりにも低い評価、これが日本の過酷な現実だ。
凡人ならやってられないと思うのが正常だろう。
まわりの理解は冷やかなものだが、こんなサバイバルな生活も悪くはない。
ツアーやパートを作る達成感や様々なジャンルの人間、仲間との出会いから学ぶ事は数知れず、
人間として成長して行く要素に困る事は無い。
だが理解の薄い日本という国で俺達がスタイルを確立して生き抜くのはとても楽しくも過酷だ。

次回は引き続きスケーターが持つ問題について掘り下げて行きたいと思います。
ストリートスケートの問題、スケーターの彼女問題、スケーターの将来についてなどなど
リアルに赤裸々に語って行きたいと思います。
今回も最後まで読んでくれてありがとー!
SK8TERS PROBLEM vol.2につづく
ここでお知らせ WURAのホームページです!CHECK THIS OUT!!!
http://www.wuratomokazu.com/



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1回目 2008/9/24 『ドッチ派=which way your type』
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4回目 2008/11/5 『SK8TERS PROBLEM vol.2』
 
 
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