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skate columnSKATE COLUMN 2013/6/5  
小島 秀彌
東京都中央区築地 1971年12月29日水曜日生まれ スケート歴27年
スケートボードと出会った地元横浜にて、FABRICというお店をやりながら
日々スケートボードと向かい合っております。
FABRIC http://www.fabric045.com/
FABRIC blog http://blog.fabric045.com/
所属:Jack Knife Boyz・KD・High rollers・kikugawaニイハオ・横濱猫会・FABRIC
1回目 2013/5/8 『スケートボードがしたい』
2回目 2013/5/22 『スケートボードが欲しい』
3回目 2013/6/5 『スケートボードが楽しすぎてサイコー』
4回目 2013/6/19 『スケーターのスケーターによるスケーターのためのスケートショップ』

『スケートボードが楽しすぎてサイコー』

でっかいガイコツのシルク印刷に迎え入れられた私のスケートライフは、
朝起きてから夜中夢の中まで、スケートボードのことで頭がいっぱいです。
24時間スケートボードに夢中なので、学校にいようが野球してようがスケートボードがしたい。

当時夢中だった音楽やファッション、グラフティーや映像などの
かっこいい要素が全部まとまっているものが私にとってはスケートボードだったわけで、
今思えば生まれて初めて資金的にも誰の力も借りずに、マイセルフでやりたいことを始めた第一歩。

立ち見で暗記したスケートビデオの音楽・服装・見たこともないトリック、
それを頭の中で繰り返し再生していました、ほとんど病気。


時期的にハマボールのパークも閉鎖された後で、
前回ご紹介したHOW TO本に載っていた
「ボウルライディング」のコーナーに載っていた技を練習する場所も無く、
買ったデッキがフィッシュテールだったもので
「フリースタイル・スケーティング」の技も練習できません。
最初からHOW TO本の意味無し。

サーフィン雑誌の1コマに載っていたほんの数枚の写真を元に自分で開拓していくしかありませんが、
バックトゥーザフューチャーを見て、
「スケートボードは街中でやるもんだ」と素直な勘違いから入ってしまったおかげで、
デッキを持って家を出た瞬間からいきなし楽しい。


さっそうと車につかまり街を流しながら、
カフェにいるパツキンのチャンネーに笑顔を振りまくマーティーマクフライ


いつもの「チビ」がいる坂を上から助走をつけて下る。
ローラースケートと違って靴を履き替える必要もなければ、取り付けバンドを外す必要も無い。
そのまま板からおりたらまた坂を登って、凄く便利で楽しい乗り物。

HOW TO本に載っていた「パワースライド」という技は、
唯一フィッシュテールでもできそうだったので、
ここぞとばかりに挑戦してみたら、板はすっ飛び体もブッ飛ぶ。

スケートボードは痛い!全開で痛い。
楽しいけれども気を抜いた瞬間に地球対自分、絶対に勝ち目無しの甘え無し。
決してゆるしてくれませんが、どっぷりと集中できます。
努力・忍耐大嫌いですが、自分のやりたいことは全開でやりたい。

体が疲れているときなどはあからさまに滑りに影響し、
スケートボードを通して自分の体調まで思い知らされる。
なんて遊びだこれは!

近所にスケート用の施設も無く坂道で滑るしかない私は、
何度も転がりながらやっと見つけたのが、
カービングしながら遠心力を利用して座りながら足をつっぱると、自然にスライドが入ることを発見。

パワースライドを覚えると、自宅から坂道をくだり西口のスケートショップまで15分でたどりつけます。

ショップに通ううちに、同じ年ぐらいのスケーターと顔見知りになり、
毎日垂れ流しのバーチカルの大会ビデオを見ながら数々のエアートリックにあこがれていたわけですが、
ある日店員さんに「新しいVHSが入ったから、こっそり1回だけ見せてあげるよ」といわれて
見せてもらったビデオがBONES BRIGADEの「FUTURE PRIMITIVE」。

トミーゲレロがサンフランシスコの坂道を、ダウンヒルしながらスケートボードでジャンプしている!
テール側のwheelだけでパワースライドしたり、もう別次元。

古いHOW TO本の情報しか知らなかった私達は、
スケートボードが飛べるのはバーチカルだけだと思っていたので、この映像は衝撃的!

やり方もわからずさっそくジャンプを真似していると、
たまに店に来る「えかきさん」と言う人が上手に飛ぶらしい。

その噂を信じ、
木曜に来たと聞けば次の木曜は学校終わってからお店が閉店するまでショップで待ち構え、
日曜に来たと聞けば日曜の午前から待ち構えているうちに、とうとうそれらしい人と遭遇。

その人はデッキテープにカラフルなイラストをペイントし、慣れた感じで店員と話してる。
多分この人、絵を描いてるからえかきさんだ!

恐々声をかけると、やはりえかきさん!
「スケートボードのジャンプを教えてください。」と言うと、
「それはオーリーって言うんだよ。」とおもむろにお店のビデオデッキを勝手に操作し始め、
見せてくれたのがSANTACRUZの「WHEELS OF FIRE」。

当時のVHSデッキにはスロー再生なんて機能は付いてなくて、
一瞬の動作なんてさっぱり分からなく、オーリーなんて文字通り本当にトリック。

さっぱり意味不明な技を、スローでじっくり見れる箇所がロブロスコップのパートの中のほんの数秒。
テールの叩き方からノーズのすりあげまでが分かりやすくスロー。

えかきさんいわく「これ100回見たほうがいいよ。」と言うので、
ビデオのそのシーンを見るために一時間粘ってその一瞬に集中する!
目に焼き付けたらそのまま外に出て一時間練習し、また一時間後にその一瞬を見に店へ戻る。

そうしていると、えかきさんが「ちょっと板貸して」というのでデッキを渡すと、
私のデッキを横向きに立てさらっとオーリー一発メイク。
その流れで向こうからターンしてきて、今度は板を飛び越えざまに空中で180°回転!

ロブロスコップよりやべーじゃん!

「うまくなりたかったら、もっと技の名前覚えて、パーツの種類とかメーカーとかも覚えて、
もっと情報を仕入れて、もっといろんな人と滑ったほうがいいよ」と教えてくれました。

その言葉の通りにオーリーを練習すると、あっという間にデッキはボロボロ、テールは無くなる。

新しいデッキが欲しいけれど、私の誕生日は偶然にも12月29日なので、
クリスマスと誕生日とお年玉が全部一緒、あわせ技一本。
ようは一年に一回しかまとまった買い物ができない。

次の誕生日までどうにかしないとオーリーが練習できないので、
私は父親の工具箱からキリを持ち出し、テールを伸ばす作戦を開始。

超硬いカナディアンメイプルのデッキに目標を定め、手の皮がズル剥けになるまで穴を開け、
それでもビスを通すには穴が小さいから木ねじを突っ込み穴を広げ、
テールが2cmなくなったらホイールベースを2cm縮めて
なんとか自力でテールが叩ける位置までトラックを移動。

そうして自力でデッキをカスタムしていくことにより、
ホイールベースと板の動きの関連性にも気づき、デッキを見る目も肥えてくる。



そしてフラットランドでのオーリーの普及と共に第二次スケートブームの到来!
ストリートでオーリーを利用することにより
今までのバーチカルやフリースタイルのスケートとは違い、
町中の壁や縁石・さらには階段の手すりまでもがターゲットとなり
意識の進化とともに、ストリートスケートの誕生!


スケートパークが無くてもデッキさえあれば何でもアリ!
発想しだいで全てが無限大!
フリースタイルのフリップ技から仕掛けてくるやつがいたり、
プールコーピングみたいに縁石にグラインド当て込むやつもいれば、
カービングのように4輪で壁を滑るやつもいる。

ただ1つルールがあるとすればカッコよくなきゃダサい。
超きらわれる。


ストリートの大会を見ると、
クリスチャンホソイのようなバートライダーから
ジョニーコップみたいなフリースタイラーまで
一斉にごちゃませでガンガンにセクション攻めまくり!

自力カスタムのデッキでさんざんオーリーを練習すると、
今まで気にもならなかった段差が素晴らしいスポットに見えてくると同時に、街中がスケートスポット。
歩道の段差を登ったり降りたりしているだけで気分はマーティーマクフライ。

気の合う仲間と「俺、あそこ登れた」とか始まったらもう止まりません。
当たったら倒れてくれるカラーコーンなんて大好物、
ガツガツトライしてやっと縦コーンを飛べた時には感動でなにが起こったか分かりませんでした。


縦コーンを始めて飛んだ時の記念のデッキ。ホイールベースに細工の後が見られます。


このコラムを読んでいただいている、スケーターと呼ばれる1人遊び好きの寂しがりやのみなさん。

あえて私の師匠であるえかきさんの言葉を使わせていただくと



「もっとヤレ!」



skate column小島 秀彌
1回目 2013/5/8 『スケートボードがしたい』
2回目 2013/5/22 『スケートボードが欲しい』
3回目 2013/6/5 『スケートボードが楽しすぎてサイコー』
4回目 2013/6/19 『スケーターのスケーターによるスケーターのためのスケートショップ』
 
 
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