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skate columnSNOW COLUMN 2009/8/19

 

KUWAPHOTO.COM(桑野智和)
埼玉県出身・在住、ホームマウンテン/群馬、スイス
20歳でスノーボードに出会って、滑る楽しさや独特なカルチャーに魅せられフォトグラファーを志す。以来、各専門誌やメーカー広告媒体へ作品提供を行ない国内外へTRIPを繰り返してきた。自分の好奇心に忠実に行動しフォトグラファーの枠に捕われずボードブランド立ち上げやアパレル輸入に関り、近年は尾瀬国立公園のガイド業などにも取り組んでいる。
現在はスノーボードと撮影とガイドを通じた環境活動を模索中。
所属&活動サポート:
SURGE SNOWBOARDS、PRYTHM outerwear、SPORTFULL、
snowpark尾瀬戸倉、片品山岳ガイド協会、UNKNOWN livemag、HOMEY
HP:http://www.kuwaphoto.com
1回目 2009/8/5 『夏も山へ行こう!!』
2回目 2009/8/19 『STYLEってナンダ?』
3回目 2009/9/2 『旅はいいもの』
4回目 2009/9/9 『メッセージ』

『STYLEってナンダ?』

どうも、KUWAです。
前回のコラムを読んで頂いて、実際に夏山に興味を持ってくれた方いたでしょうか?
後日、自分も尾瀬に行きましたが黄色や紫色の高原植物がキレイでした♪
ちなみに前コラムについて知り合いの方々から感想コメントを頂き嬉しかったです。
この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました!
さて、第2回のコラムですが、今回は『STYLE』について書かせて頂きます。

私は幼稚園の頃からスイミングへ通い、小学校ではサッカークラブ、中学高校では陸上部で汗を流していました。
いずれもタイムや得点で評価し、勝負の結果に重きを置く『体育会系』スポーツです。
しかし、現在テーマとして撮っているSNOWBOARDSは得点だけでなく、
体の動きや生活の様式にまで評価が及ぶスポーツ。
つまり、私達が愛するヨコノリというジャンルでは、『STYLE』というものが重視されているのです。

『◯◯◯◯のSTYLEって、やばくねぇ?』

『僕はSTYLEにこだわって、滑ってマス!』

ヨコノリのシーンではよく聞くフレーズです。
ライダーは『STYLE』を追求し、
メーカーはコンセプトや方向性に合った『STYLE』のライダーを擁し、ブランドのカラーを打ち出す。
KIDS達は『STYLE』を出しまくってて自分の嗜好に合致するライダーやブランドを選び、
ギアを買ったりトリックを真似たりして楽しんでいる訳です。、、、です、、、、、です。が、しかし!私は時々思うのです。

この『STYLE』ってなんなんだ?

いや、実際分かってるつもりですよ!感覚的には。
でも、冒頭の様に固苦しく文章にしていくと定義はなんだろうなって悩みます。
そこで、分かり易く&独断と偏見で自分がグッとくる『STYLE』について書きたいと思います。

例えば、ポーク。カッコいいです。鬼ポーク。シビレます!
友人の裏山番長ライダー、沼野健補君が昔やってて鮮明に残っているのですが、
とにかく人より多めにポーク入れるんですよ。クドいくらいに。笑。
同じく友人、ニコラスミューラーのポークも独創性があって好き。
もちろん、神様テリエのTWEAKなんかも超大好きです。
シャッフル、シフトの類いも好きです。
ジャンプではデビッドベネデックのシャッフルに驚かされ、国内では吉野康人君や廣田鉄平君が、
ニセコのフリーラン中にmixしてた野性的な動きがカッコ良くて真似たもんでした。
(彼らみたいに巧く出来なかったけど。笑)
同じく、数年前のチロルの氷河サマーキャンプで
梶浦修治君が『敢えて』シフト&ノーグラブで超ぶっ飛んでたのも最高にイケてました。
それから『敢えて』の、低回転トリック。
最近だとニューカマーの鈴木豪がイケてた。
GW後の奥只見、夕陽に合わせてシークレットセッション。
刻々と表情を変える大空の中、BIGでSLOWで、、、パキッと刺して鬼ストーンプッッ!!
とってもイイモノを撮らせてもらいました。
そして高さ。高さは何にも代え難い武器ですよね。
五輪HPにも出場した宮脇健太郎君や村上フミオ君がAIRMIXで有り得ない高さを追求する姿には男気を感じます。
その瞬間は『ああああああ!』って息が止まっちゃうけど、しっかりランディングする所が本当にプロ!
10年以上前にはインゲマーバックマンのハイジャンプに度肝を抜かれ、
彼のシグネチャーボードを探しまわった覚えもあります。
つまり、こういう勝負どころでの『敢えて』の『コダワリ』に人は惹き付けられる傾向があるんでしょう。

写真を撮り始めた頃の沼野君。刺しっぷりが今でも気に入ってる一枚。
ニセコNO.1のスタイルを持つ吉野YATTO。
まるで自分の庭のようにツリーを駆けていた。
万年氷河でブッ飛ぶ梶浦修治。
SOBUTの板が懐かしいぜ!!

さて今度は、自分の場合(写真)に置き換えて考えてみたいと思います。

自分の撮影の場合は、『ヨコイチ』が好きです。
ジャンプの高さを重視するスノーボードでは縦写真がセオリーですが、『敢えて』の横位置。
それから『ヒキ』。ボードの躍動感を表現するためにはアップが有効ですが、『敢えて』の引き。
大会でライダーの近くに集まるメディア陣を見ると、逆にヒキで撮ります。(単に天の邪鬼なんでしょうか?!)
それとバックショット。
ほら、よく『男は黙って、、、』とか『背中で語る』とか言うでしょ。
そういうのが好きなんです。
後ろ姿って自分自身で見えない分、リアルな『STYLE』が出るのではないか、って思うのです。
そして最後は、ライダーと一緒に登り頂上からライダーを撮り下ろすこと。
ハイクはしんどいけどプロセスを共有出来るし、ライダー目線も表現出来るし、
なんてったってピークから自分も滑れるしねっ♪
ニセコのシンボル、羊蹄山を7時間かけて登り9合目から夕陽で。。。。。
樹氷モンスターだらけの八甲田で陸奥湾に向かってジャンプ。。。。。
世界一の事故エリア、谷川岳の頂上から。。。。。
日本のてっぺん、富士山の頂上から、、、、、、、、、、、、、、、、
ここぞという時には、全て『ハイク+ヨコイチ+ヒキ+バックショット』で画を残してきています。


羊蹄山ピーク付近から撮り下ろした廣田鉄平。moss snowstickが良く似合う。


山頂から撮り下ろした沼野健補のパウダーターン。富士山は全てが桁違いのスケールだった。


少しでもライダーをカッコ良く撮りたいと思う時、
長い時間葛藤するときもあれば短い時間でコレしかない!って即決のときもある。
富士山の山頂では急斜面を前にして強風で体が浮き、高山病で意識朦朧として極限状態だった。
だけど登る前から決めていた狙いを貫徹した。
きっと撮り方は無限にあったはず。
それが正解かどうかなんて解らない。
でも自分のココロは満たされた。
それでいいんです。
自覚していなかったけど、これが自分の『STYLE』なんじゃないかな、って思うようになりました。

一般的に『STYLE』とは練習の積み重ねで出来る、とか、
無意識の中で生まれる自然の動きだ、とか、
人それぞれの身体的特徴で違いが出てくる、と良く言われてます。
でもそれだけじゃ説明がないと思うんです。
グラブとか体のローテーションとかそういった表面的な面だけが『STYLE』じゃないと思う。
巷では『STYLE』を重視したハウトゥ系が流行ってるけど
『STYLE』ってもっと深いものなんじゃないかなーって感じてます。
なんていうのかな、他人とは違う事をしたい、誰もやってない事をしたい、
どうしてもココでアレを決めたい!とか意味もないクダラナイ事。
妙なコダワリみたいな、自然とココロから湧いてくるモノ。
そういう精神的で抽象的な部分が大きいと、自分は思う。
そういった面を、体を以て具現化されたものが『STYLE』ではないか。
つまりお金や名誉ではなく説明の付かない『想い』こそが『STYLE』だと思う。
そして、同じタイプの『想い』を発している人に、私は魅せられてシャッターを押してきたと思う。
それが自分にとっての『STYLE』なのかも知れない。

本来、 SNOWBOARDは
『こうしなきゃいけない、こうあるべきだ、これが一番だ』という押しつけとは無縁の世界。
大きな枠組みだけ守って、あとは自分の自由。
『ヨコノリ』も『写真』もそういう懐の深い要素があるからこそ、
奥が深く進化も速く、人を惹き付けて止まないのでしょう。
確かに正面やヨリショットは広告や表紙を獲得しやすい。
でもそれだけじゃない。
損得じゃなく、型にはまらず自分の欲求に正直に『STYLE』を追い求めていきたい。
願わくば、ライダーが積み重ねて来た身体的『STYLE』と
その奥に潜む『STYLE』の両方を写し込んでいきたい。
それがきっとSNOWBOARDや人生そのものを楽しむ、大きなスパイスに違いないから。


エルモと一緒に日本の雪を楽しむnicolas muller

みんなそれぞれの『STYLE』はどんな風なんだろう。
そして、どんな『想い』を胸にSNOWBOARDを楽しんでいるんでしょうか?



snow columnKUWAPHOTO.COM(桑野智和)
1回目 2009/8/5 『夏も山へ行こう!!』
2回目 2009/8/19 『STYLEってナンダ?』
3回目 2009/9/2 『旅はいいもの』
4回目 2010/9/9 『メッセージ』
 
 
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