interstyle magazine
 COLUMN

skate columnSNOW COLUMN 2009/9/2

 

KUWAPHOTO.COM(桑野智和)
埼玉県出身・在住、ホームマウンテン/群馬、スイス
20歳でスノーボードに出会って、滑る楽しさや独特なカルチャーに魅せられフォトグラファーを志す。以来、各専門誌やメーカー広告媒体へ作品提供を行ない国内外へTRIPを繰り返してきた。自分の好奇心に忠実に行動しフォトグラファーの枠に捕われずボードブランド立ち上げやアパレル輸入に関り、近年は尾瀬国立公園のガイド業などにも取り組んでいる。
現在はスノーボードと撮影とガイドを通じた環境活動を模索中。
所属&活動サポート:
SURGE SNOWBOARDS、PRYTHM outerwear、SPORTFULL、
snowpark尾瀬戸倉、片品山岳ガイド協会、UNKNOWN livemag、HOMEY
HP:http://www.kuwaphoto.com
1回目 2009/8/5 『夏も山へ行こう!!』
2回目 2009/8/19 『STYLEってナンダ?』
3回目 2009/9/2 『旅はいいもの』
4回目 2009/9/9 『メッセージ』

『旅はいいもの』


さて、第3回目のコラムになりました。
前回が『STYLE』でその前が『夏山』でした。
今回は『旅』について書かせて頂きたいと思います。

私がスノーボードの撮影を続けているなかで個人的に最も好きなイベントごと、それは『旅』です!
旅といってもその規模や期間は様々ですが、
日帰り、1週間トリップ、近場、車、バス、電車、飛行機などを使う全てが大好きです。
なぜって、、、、ん?なぜなんだろう、、、、うーーーーん、、、でも、なんか皆さんも好きじゃないかな?



そこでまず自分の『旅』LIFEを振り返ってみると、最初は小さな出来事からでした。
それは3、4歳くらいの時に、実家からおばあちゃん家に行った時の事。
親に地図やメモを書いてもらって、たったの3駅ですが独りで電車に乗りました。
自分で『電車くらい独りで乗れるさ』、そう思っていたんでしょうか。
車窓の景色を見てワクワクしたのを覚えています。
それからオヤジの仕事で暮らしたスコットランド。
30年前だと日本人は欧米から冷遇されたり見下されたりした事もありました。
それでも幼心に見て、感じた、ヨーロッパ諸国の景色や人々にはカルチャーショックの連続でした。
僕にとって、そもそも国によって言葉が違う事自体がビックリだったし、バストイレが同室だった事や、
公園がクロッカスやスイセンの花々で奇麗に整備されてたこと。
あと、電車内で恋人同士がチュッチュしまくっていた事が特に衝撃的でした。笑。
子供心に、なぜ人間の見た目が違うのかとか、文化や食事の違いがあるのか不思議でした。
幼稚園児でしたが、この1年の記憶はすごく強烈に記憶に残っています。

それから大学に入り、自由な時間が増えるとボクの放浪癖が芽を出します。
1年の夏休みには友人と青春18切符を使って鳥取砂丘を見たり、京都駅で野宿したり、
ヒッチハイクしながらオモシロオカシク関西を旅します。
ボードをやり始めたのもこの頃で、各駅列車の始発で水上や湯沢方面へ滑りに行きました。
今考えるとタフですね。
通勤電車のサラリーマンに混じって大きなボードバックを抱えて数時間も電車に揺られてましたから。
3年時にはバイクで東北1周のツーリングへ。
4年では北海道1周のツーリングにも。
バイクに出来る限りの荷物を括りつけてキャンプ場を転々。
DVDで見た『イージーライダー』のデニスホッパーにでもなったつもりでいました。
土地の広さに驚き、夕陽を見ながら浜辺の温泉に浸かり、
旨い物が食えるだろうと目論み漁港ばかりをアテ込んだりしたものでした。

いよいよボードにのめり込む時期になると、もう毎日が旅。ムチャクチャです。
仲間が大会エントリーするというと、籠っていた群馬から東北の八幡平まで下道で10時間ドライブ。
本州が雪不足でニセコがバフバフだと聞けば、
茨城のフェリー乗り場へ向かい翌日にはニセコのセンター4リフトを回遊した。
為替が安いと聞けば、1ヶ月予定のスイス行きを4ヶ月に引き延ばし、
ミレニアムの瞬間を小さな教会前でシャンパン開けて祝ってみたり。
スイスから帰国したかと思えば、翌日には別件でアメリカに飛び、
北極圏でユニークな大会があると聞けば、
ストックホルム空港から18時間もライダーと電車に揺られてみたり。。。
武尊を登った翌日に、谷川岳を登り、さらに翌日は移動して燧ヶ岳も登ったり。
こんな感じでスノーボード絡みの旅は現在進行中。
もう、体が幾つあっても足りません。
アルコールや睡眠不足が重なれば、そりゃ体も壊れますわな。
でも、そんな旅の要素が強かったからこそ、自分でもハマったのかなって思います。
移動中にふと美しい景色に出会えたり、
荒れ狂う天気に予定が立たなかったり、
道中出会う人々に話し掛け短い出会いと別れを繰り返し、その後の人生に影響を受ける体験をする。
そして大きく成長して人間の幅が出来てゆく。

旅は日常からの脱出。そして目的に向かうイベントである。
ただ、楽しい出来事だけど現在地と目的地の往復だけの単純なものじゃない。
そういった様々な外からの刺激を自分の内側でどう処理するか、
重要な局面での判断力がレベルアップする気がします。
始まりがあって終わりがある。
そのなかでどうやっていくか。
つまり『旅』って、人生そのものの縮図の様な気がするんです。
また、荷物も自分が持てる分しか持って行けない。余分な物は捨てて行く。
限られた時間。その瞬間瞬間がいつも選択。
後戻りも出来ない。ただ、進んで行くだけ。
『旅』をする事で人生のイメトレも出来てしまう。
それでいて、いい景色も見れるし、旨い物も食える。笑。
そこが私の一番のお気に入りです。

ちなみにボクの『旅』のコツは、大筋では予定を決めておくけど後は行き当たりばったり。
なにかあれば随時調整。
気になる人には話し掛けてみる。
不安な事は聞いてみる。
お年寄りにはやさしく。
出されたモノは最後まで頂く。笑。
こんな感じで今まで色んな旅を繰り返してきたけど、
正直、きちんとまとまった旅なんてあんまりなかったかも。
飛行機に乗り遅れたり、忘れ物をしたり。
でも回を重ねるごとにパッキングは上手くなっていくし、
季節の違う場所へ行くのにもパーティーに行くにも着るものもこざっぱりまとまる。
どうやら『旅』のおかげで判断力や適応力だけでなく、洗練さなども身に付くみたい。


振り返ってみると、スノーボーダーは世界中のイイ雪を求めて彷徨う現代の遊牧民。
こんな旅の多いカルチャーは他に無いと思います。
たかが遊び。されど遊び。
人間は遊びからだって学ぶ事は沢山あると思います。
街の一角の小さなクラブで毎週末遊ぶのもいいけど、
私たちはスノーボードやサーフィンやスケートなど
板一枚だけで世界中を飛び回れる素晴らしいカルチャーを知っています。
それはすごーーーくラッキーな事だと思います。
さあ、というわけで、今週末はパソコンを消してどこかへ『旅』しませんか?
なにか、ステキな出会いがあるかもしれませんよ!!





snow columnKUWAPHOTO.COM(桑野智和)
1回目 2009/8/5 『夏も山へ行こう!!』
2回目 2009/8/19 『STYLEってナンダ?』
3回目 2009/9/2 『旅はいいもの』
4回目 2010/9/9 『メッセージ』
 
 
Copy right © INTERSTYLE Co.,Ltd All Rights Reserved.