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snow columnSNOW COLUMN 2015/7/15

 

河尻晋介
1973/6/16 
'92年の冬にスノーボードを白馬で始める。
当時ビンディングの付け方を教えてもらったのは上越にあるメイストームの羽田さん。
その後お金のある限り雪山を追い求める生活へ。
20代のライダー活動を経て、現在はSPY+ゼネラルマネージャー。
アクションスポーツ全般の選手やライダー達をサポートし、貢献する事が使命。
1回目 2015/7/1 『懐かしきオレゴントリップ』
2回目 2015/7/15 『日々感謝の理由』
3回目 2015/8/5 『カリフォルニアとSPY+』
4回目 2015/8/12 『忘れもしないジェイソン・フォードの板』

『日々感謝の理由』

2年前の正月明けの出来事。
毎年恒例にしている富山の仲間と正月明けに滑る恒例行事。
その日は雪もほどほどによく天気も良好でいいシーズンイン。
皆、自然とテンションもあがりニコニコ。
そのゲレンデをくまなく知るローカルライダー達に連れられ、余す事なくパウダーを楽しんでいた。
お昼前の時間になり、小さな沢の斜面を順番に滑り始め、先行く人のラインやターンを見ながら、
自分のラインをイメージし、後ろに2人残して自分も滑り始めた。
スピードをつけ狙っていたフロントサイドの壁に向かって当て込むと、想像よりもそこが固まった雪。
あれ?と思った瞬間に思わずはじかれた。
エッジを取られて、背中越しに沢側にひっくり返った。
おそらく2回転くらいしたと思う。
手をつき起き上がろうとすると手が沈む。
あれ?もう一度手で雪を押し起き上がろうとするが、更に体が沈む。
どうやら、シーズン始めで踏まれていない部分に穴があり、そこに運悪くはまった感じ。
その穴に雪と一緒になだれ込み、雪の中で逆さまになっているなと理解した。
目の前は真っ暗。手もバンザイ状態で全く動かない。
思わず、おーい!と叫んだが自分にしか聞こえない。
逆さま、真っ暗、身動き出来ない。完全にお手上げ状態。これはあかん。。。
20年程スノーボードやって来たけど、お手上げ状態は初めて経験。
過呼吸ぎみになり、これはまずいが、後ろに大輔(水間大輔)と雅人(森川雅人)がいたはず。
それだけがその状態で自分を落ち着かす唯一の安定剤だった。
なんとかゆっくりと息をする。
苦しいけど、もがかずじっとして待った。
こういうときすごく時間が長く感じる。
実際は1分くらいだったはず。
そのうち雪の重みで肺が圧迫されて行くのがわかり、
そろそろ息も限界というタイミングで、近くで雪を掘る音が響いて来た。
神が来た。
おそらく雪面に板のソールだけが見えていたのだろう。
なかなか出てこないから、おかしいと勘を働かせた大輔と雅人が掘り起こしてくれた。
その後食べたラーメンの味は格別で忘れられない。
自然の中で遊ぶ事は素晴らしい経験も出来る。反面、こういった事が起きうる事も。
今の自分は確実に人に生かせてもらっている。日々感謝。

snow column河尻晋介
1回目 2015/7/1 『懐かしきオレゴントリップ』
2回目 2015/7/15 『日々感謝の理由』
3回目 2015/8/5 『カリフォルニアとSPY+』
4回目 2015/8/12 『忘れもしないジェイソン・フォードの板』
 

 
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