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 SNOW COLUMN 2015/8/12
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『忘れもしないジェイソン・フォードの板』
彼との出会いは1994年だったと思う。
とにかく1年中滑りたい病にかかっていた若き頃の自分は
日本とは季節が逆の南半球はニュージーランドに飛んでいた。
シンガポールエアラインが安いのでシンガポール経由でいつも移動をしていた。
シンガポールの空港がやたらと広くて綺麗で乗り継ぎの待ち時間5時間もそこまで苦ではなかった。
本屋にあるビジョンでMr.Been(ミスタービーン)がずっと流れていて
笑いは世界共通だなって思いながら見ていた。
初めて降り立つ南半球の国は日本の国土とさほど変わらず、
時差もさほどないし、びっくりするような生活環境の違いもなく親近感もあった。
今思えば古い日本車がたくさん走ってたせいもあったかも。
同じ左側通行で右ハンドルだったし。
まだ情報が少ない時代だったけど、なぜか友達とまずはWRCのレースを見て回った。
ハイエース借りて3日間くらい北島をぐるぐる走り回った。
もちろんお目当は雪山で滑ることだがら、そのまま北島から南島までずっと車で移動した。
この頃から旅自体が楽しかった。
もう書ききれないほどのハプニングばっかで、面白かった。
いろいろな山に立ち寄り滑りながら最終目的地のワナカという小さな街まで
たどり着き、1日1500円くらいのバックパッカーに寝泊まりしていた。
そこから通える山はトレブルコーンという山と
もう一つカードローナという山があり、そっちにはハーフパイプもあった。
自分たちはとにかくでかい山をたくさん滑りたかったので、
トレブルコーンの方へ良く滑りに行っていた。
日本人もそこまで多くはなかった。
いつも7～8人しか見かけなかった。
そんな中、その山で初めて友達になった日本人が少し年上の”ケンジくん”だった。
レストハウスの外でタバコ吸いながら、自分の板をながめてブツブツ言ってた。
話しやすい空気感がそこにはあったので、知らない間に話し込んでいた。
「折れちゃったんだよ～」って。
RIDEから出ていたジェイソン・フォードのシグネチャーの板で、ノーズ部分が折れていた。
そこからケンジくんとは仲良くなり、毎日とまではいかないけど、
よく一緒に滑ったし、釣りしたり、遊んだりした。
いっつもニコニコして楽しそうに滑る人で一緒に滑ってると楽しかった。
初めてのニュージーランドで初めて友達になった日本人だったのもあって、
帰国後も連絡を取り合ってはいたけど、帰国してからはほとんど一緒に滑る事はなかった。
数年後、自分がRIDEからサポートを受けることになった時に真っ先に電話をしたのはケンジくんだった。
RIDEというブランドを良く知っていたし、大好きだったから余計に話をしたかった。
ケンジくんはすごく喜んでくれた。
近々一緒に滑ろうって約束したものの、
なかなかタイミングが合わずのままそれからまた時間が過ぎた。
ようやく一緒に滑る機会が出来たのは
白馬でRIDEが試乗会をやるのでそこへ誘ったら絶対行くからということで
10年近くぶりくらいに再会して大雪の中一緒に滑る事が出来た。
「俺もまだまだまだ滑れるだろう～」って足を叩きながら、楽しそうにパウダーを滑っていた。
まさかそれがケンジくんと過ごす最後になるとは思いもしてなかった。
数ヶ月後に自分達は立山で残雪を楽しんでいた時、彼が自宅で亡くなったと一報が入った。
突然死だった。
白馬で久しぶりに再会して、ニュージーランドで滑って以来ようやく一緒にセッション出来て、
また滑ろうって約束したのが夢見たいに思えた。
本当にスノーボードが心底大好きな人だった。
ケンジくんとの思い出は今でも鮮明だし、今でも滑ってる時ふと思い出す時がある。
忘れもしないケンジくんとRIDEのジェイソン・フォードの板。
読んでくださった皆様ありがとうございます。
そしてこの機会をくださった長谷川さんいつもありがとうございます。
横ノリ業界の発展を祈りつつ、いつまでもこの大自然で遊べる環境を次世代にまで残せるように
自分たちが出来る事を使命としてみなさんと一緒にいい時間を過ごしていきたいと思っております。
本当にありがとうございました。
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