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snow columnSNOW COLUMN 2016/8/17  

田辺竜太
静岡県の浜松に住みながら片道2時間近くかけて静岡市街まで通勤している自称 都会派スノーボードショップの雇われ店長。
スノーボードに育てられ、今ではサインペインターとしても水面下で活動中。
昨年20周年を迎えた浜松のTHE ITAYA OUTLOW SERVICEに属し、この春 静岡市街に2店舗目となるTHE ITAYA SUPERIOR SERVICEをオープンさせ日々奮闘中の42歳、おひつじ座のB型。
THE ITAYA SUPERIOR SERVICEブログ:http://itayashizuoka.eshizuoka.jp/
1回目 2016/8/17 『ニッチなショップ店員から』
2回目 2016/9/7 『NOT A SPORTS』
3回目 2016/9/21 『柔軟性という鍵』
4回目 2016/10/5 『クリエイトしていこう。』

『ニッチなショップ店員から』


もはや嫉妬すら覚える文才を持ち、しかもニッチな存在だなんて、
今や誰も認識していないだろう白馬の翻訳家・加藤健次からバトンを受け継いだ、
正真正銘ニッチな存在の田辺竜太と申します。

彼のコラムの最後の言葉が「ショップに行こう」だなんて、
バトンの渡し方すらスマート過ぎて、若干緊張気味に走り出した、
雪の降らない静岡県でスノーボードショップの雇われ店長をさせていただいている42歳、おひつじ座のB型です。

2007年に始まったこのコラムも、
10年近くの歳月が経つとニッチな存在のさらにニッチな存在にまでバトンが渡ってくるもんなんですね(笑)

高校を卒業した冬にスノーボードに出会い、
この冬でおそらく23回目のシーズンを迎えることになるのですが、
日本のスノーボード業界のニッチ部門の中で
Mr.ニッチを自負するわたくしにせっかくバトンが渡ってきたということなので、
まともでクリーンな内容は他の皆さんに書いてもらうとして、
わたくしはニッチな内容のコラムを全4回にわたりお送りしてみようと思っていますので、
みなさんお付き合いお願いします。



地元の友達とワイワイと楽しんだスノーボード1年目のシーズンが終わった年の夏、
まだカービングもまともにできないレベルにもかかわらず海外のサマーキャンプに行き、
そこで知り合った当時のプロたちに誘われるがまま
連れて行かれた岩手県の八幡平スキー場に篭りはじめ、
そこでまた名だたるプロ達・猛者達に出会い、
現役中はもとより、お店で働くようになってからもメーカーさんやお客さんをはじめ、
いろいろな人に出会い、影響を受けまくり、いろいろ学ばせてもらい、経験させてもらい、
今の自分があるわけなんです。

それらを語りだすと軽い小説が一冊出来上がってしまうので割愛させていただきますが、
なにせ今こうして振り返ると、奇跡なのか運命なのか、
ホントに出会いに恵まれていたスノーボード人生だし、
スノーボードの魅力のひとつにこの「出会い」があると個人的には感じています。

昨今のいわゆるネット時代は便利で簡単で早いの上書きが日々続き、
わたくしが経験してきた昔ながらの足で稼いで得たような「出会い」的な物事が少なくなり、
その代わりによく使われるようになった代打的な言葉が「つながり」。

出会い → つながり

出会った → つながった

もちろんそのおかげで日本全国はもとより海外とも簡単につながることができ、
素晴らしいところもたくさんあるし、わたくし自身もそのつながりからいろんな恩恵を受けています。

この2つの言葉は、何か似てるニュアンスだし、今の若い世代には同義語のように感じるかもしれません。

でも、個人的に人生の半分以上を
スノーボードの世界で生きてきて経験をしてきたわたくしの言う「出会い」とはFACE to FACE、
つまり実際に顔と顔を合わせることであり、
今のネットなどを介したブラウン管の向こう側との「つながり」は、
なにか擬似的な感じがして、少しニュアンスが違ったりするんです。


仕事柄、お店側という立場で二十代を中心としたお客さんと長年付き合わせてもらっていますが、
20年近くこの仕事をしていると、時代(世代)の変化、時代の流れにより、
その二十代の子たちの出会いがつながりに変わっていることを確実に感じます。

そのコミュニティの輪や、経験が広く深くなっている人ももちろんいますが、
逆に狭く浅くなっている人が最近やけに多いと感じていたりもするんです…


例えばスノーボードメディアで言うと昔はお店でしか買えなかったVHSビデオ、
それらは時代の進化によりDVDになり、今では動画配信に…
タイトルも海外の作品が主流の時代から国内タイトルへ移り変わり、
はたまた知り合いたちが作るローカル作品になり、
YOUTUBEの無料配信を経て、
今の若い層はそもそもそういったモノをあまり見ない…

あれ…?

雑誌にしても、昔は洋書しかなく、
英語も読めないのにスミからスミまで目を凝らして穴があくほど写真を眺めてた時代から
日本の雑誌ができ、読みやすくわかりやすくなったのに発行部数の低下により廃刊が続く昨今…

あれ…?

なんでしょう この反比例感…。


我々おっさん世代がはじめた頃は
ニッチだったスノーボードがバブルを迎えオリンピック種目になり、
スノーボーディングからスノボになり、市民権を得たという裏返しなのでしょうか?…


このコラムを読んでいるみなさんは、
この業界のかなり内部の人たち、重度の雪山病患者だと思うのですが、
何かそんなモヤっとした感じしませんか?


IQの高い人たちからしたら
『そんなこと当たり前だろ』とか『それが世の中流れだよ』って言われそうですけど、
ニッチなわたくしはどうもそこらへんが呑み込めないところなんです…

そのモヤっとした何かについては、次のコラムにて♡



snow column田辺竜太
1回目 2016/8/17 『ニッチなショップ店員から』
2回目 2016/9/7 『NOT A SPORTS』
3回目 2016/9/21 『柔軟性という鍵』
4回目 2016/10/5 『クリエイトしていこう。』
 
 
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