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snow columnSNOW COLUMN 2016/9/7  

田辺竜太
静岡県の浜松に住みながら片道2時間近くかけて静岡市街まで通勤している自称 都会派スノーボードショップの雇われ店長。
スノーボードに育てられ、今ではサインペインターとしても水面下で活動中。
昨年20周年を迎えた浜松のTHE ITAYA OUTLOW SERVICEに属し、この春 静岡市街に2店舗目となるTHE ITAYA SUPERIOR SERVICEをオープンさせ日々奮闘中の42歳、おひつじ座のB型。
THE ITAYA SUPERIOR SERVICEブログ:http://itayashizuoka.eshizuoka.jp/
1回目 2016/8/17 『ニッチなショップ店員から』
2回目 2016/9/7 『NOT A SPORTS』
3回目 2016/9/21 『柔軟性という鍵』
4回目 2016/10/5 『クリエイトしていこう。』

『NOT A SPORTS』


スポーツの祭典オリンピックが閉幕し、パラリンピックが開幕ですね。

今回のリオでは日本のメダルラッシュにみんなが湧いたこのタイミングで
こんな内容は不謹慎なのは承知で書かせていただきますが、
スケートボードの有名なグラフィックに
"SKATEBOARDING IS NOT A SPORTS / スケートボードはスポーツじゃない" ってのがあります。



このメッセージに大賛成だし、
前回に書いたモヤっと感じる理由のひとつがこれだと思うんです、簡単に言うと

《 スノーボードのスポーツ化 》

もちろんスノーボードは「ウインタースポーツ」と称されますし、
それに疑問を抱く人は少ないと思いますが、そこはニッチなわたくし、


大きな声で「NO」と言いたい。


"SNOWBOARDING IS NOT A SPORTS / スノーボードはスポーツではない"

と。

わたくしにとってスノーボードはスポーツじゃないですし、
今まで一度もスノーボードでスポーツをやってる感を感じたことはありませんし、
ゲレンデではポカリスエットなどのスポーツ飲料は飲みません(笑)

この「スポーツじゃない説」を唱えるときによく例えるのですが、
サッカー界で世界的に有名なロナウドやメッシをはじめ、Jリーグの日本人にしろ何にしろ、
とにかく有名で支持されお金を稼ぐ人たちのほとんどが有名なスターチームに所属し、
なおかつその中で活躍しているいわゆるスーパースターな人たち。

でも、我々のスノーボード業界にそれを当てはめた時に
完全に一致するか?っていったらそうじゃないですよね。

もちろん大会に出て好成績を挙げてる人もいますが、
そうじゃない《スタイル》的な部分でまわりを魅了し、
大会やそれこそメディアにすら出ていないのに、
その人たちと同様に、いやそれ以上に人気があり、お金を稼ぐ人がたくさん存在します。

こんな世界ってスポーツ界にはなかなか無いんじゃないでしょうか?

サッカーに例えたら「試合になんか出ねえし」とか
「Wカップやオリンピックに興味ねえし」って選手がロナウドやメッシと同様に人気がある…
そんなの成立しにくいですよね?(笑)

でもスノーボード業界をはじめとする我々のヨコノリの世界にはまだまだそんな感じ人が存在するし、
そういう人の存在にアウトロー感を感じ、憧れてこの世界に入ってきた人って昔は沢山いたんですよ。

良い子ちゃん → スキー
悪い子ちゃん → スノーボード

スノーボードだけじゃなくスケボーであれサーフィンであれ、昔は悪い子の遊びの代名詞でしたしね(笑)

それが時の流れとともに大衆化からのスポーツ化…
もはやオリンピック種目ですから、
これはもう完全に《スポーツ化》の波が押し寄せてきているんです、長野オリンピックあたりから。

ここで言っておきますが、そのスポーツ化をディスってるわけじゃありません。

そのスポーツ化・大衆化、はたまたビジネスという大きな波に飲み込まれることを
もはや阻止したり防いだりするこは無理なんですが、
その中でも失ってはいけない大切なモノが
無くなりつつあるということに警笛を鳴らしたいんです、おっさん世代として。

なんだろう、
例えていえば炭酸が抜けたコーラがコーラになっちゃったり、
ノンアルコールビールをビールとしちゃったり…
「それ抜いちゃダメでしょ」的な(笑)

じゃあ、その失っちゃいけない【大切なもの】って何よ?

ってことになるんですが、何なんでしょ?

これはもう十人十色、その人その人によって様々な意見があって当然です。
だって我々がやってるのはフリースタイルスノーボードなんですから。

フリースタイル。

あくまで自由(笑)

だから意見も自由。

ただ、個人的にわたくしが経験してきた上での「何か」を言わせてもらうと、
それは『独自性』とか『独創性』です。

前回のコラムにも書きましたが、
ネットの普及により情報がタイムリーに全世界同時に掴めるようになってから、
その独自性・独創性はやはり反比例するように無くなってるように感じるんです。

簡単に言うと、みんな同じ。

上記のサッカーみたいに
全員同じユニフォームを着ているスポーツなら同調とかは、絶対に必要だと思いますが、
我々が愛してやまないスノーボードはフリースタイル、
乗る板も着るウエアーも滑る場所も基本自由なんです。

その一方、ほれ「スタイル」だ「スタイルが大切だ」と論じてるんです。

決して独自性・独創性がスタイルだと決めつけている訳ではありませんが、
個人的にはかなり「スタイル」に対してイコールに近いのが独自性・独創性だと思っています。

昨今のボトム形状革命も、
元はと言えばマービンの独創的で独自な考え方から始まったように、
その独自性・独創性があるからこそ物事に進歩・進化があるわけです。

話が脱線しそうなんで元にもどしますが、
スポーツ化・ビジネス化・大衆化の荒波を防ぐ防波堤は、もはや無いと思うんです。

ただ、この独自性・独創性を意識するだけで、
モヤっとした今の状況の中で見えなかった扉を発見できるビーコンのような役割をしてくれると思っています。

その扉を開く「鍵」については、次のコラムにて♡




snow column田辺竜太
1回目 2016/8/17 『ニッチなショップ店員から』
2回目 2016/9/7 『NOT A SPORTS』
3回目 2016/9/21 『柔軟性という鍵』
4回目 2016/10/5 『クリエイトしていこう。』
 
 
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