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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2008/2/13  
赤井得士(SURF 1st誌編集部所属)
サーフィンの面白さを雑誌やブログを活用しながら、広く伝えるコトに生き甲斐を感じている1963年生まれのオヤジサーファー、2児の父、神奈川県逗子市在住。
ブログ「サーフィン波次第」見てね!
http://www.hobidas.com/blog/surf1st/world-peace/
1回目 2008/1/9 『ホームブレイク』
2回目 2008/1/23 『イイ波をキャッチする条件』
3回目 2008/2/6 『シェイパーの出身/在住地は?』
4回目 2008/2/13 『レアードの“Xライド”』
5回目 2008/2/18 『日本人世界チャンプの可能性』

5回連載コアなサーフィン的コラム”愛しのサーフブレイク”
第4回『レアードの“Xライド”』

 鋭いサーフィンファンと同様に、2000年の米サーファー誌の表紙に掲載された1枚のサーフィン写真が私の記憶の底に寝付いている。

 私の頭からまったく離れずに残っているシーン、それはレアード・ハミルトンがタヒチの波に乗っている写真だ。2000年の8月、レアードが画期的なトウインサーフィンによってチョポ(タヒチ)の超デカくて超キレイな波にバックサイドで乗っている写真。その一発のライディングは当時“Xライド”と呼ばれ、レアードが乗り終えたとほぼ同時にインターネットのウェブサイトを通じて全世界に伝達されたので、記憶に残っている日本のサーファーも多くいるはずだ。

 2頓トラックがスッポリ入ってしまいそうなチューブ空間、クリスタルのように輝いている面ツルな波面、何トンもあるような分厚いリップがレアードの背後に迫っている。いったいどのくらいのスピードが出ているのだろうか。レアードが乗っているディック・ブルーワーシェイプの特別なトウインボードが描くトラックは、レアードのすぐ後の分厚いリップと同化している。物凄いスピードが出ていることが想像できる。
見れば見るほど恐ろしい、というか何か荘厳というか…。

 ジョーズ、コルテスバンク、ハワイのアウターリーフなどのトウインスポットが、ビッグウェイバー達の果てしなく純粋な欲求により発見されきた。どのスポットも、20フィート(ハワイアンサイズ)を超えてからが本来のブレイクだと語られている。実にフェイスで50フィート(16.5メートル)だ。5階建てのビルディングが水の塊になって押し寄せ、大きな雪崩のように崩れる様を想像してみて欲しい。

 ジョーズでのレアードのライディング写真が初めてメディアに登場したとき、コレって合成写真?って思ったのを覚えている。また、実際に本来のジョーズを、日本人として初めて滑った古矢英果は「もう凄いデカくて、ボトムまで降りてリップを見上げるとさー、これホントかな、アニメだよこれじゃ、って思ったよ」とその時の様子を話してくれたことがある。アニメの中でサーフィンしていると錯覚させるほど、想像を絶する体験だったのだろう。

 波の高さだけで問うなら、レアードのチョポでのXウェイブは半分しかない。しかし、その掘れ方やリップのぶ厚さから、水深が非常に浅いことが容易に推察できる。しかも、そのボトム(海底)は、触れるだけで皮膚が切れてしまうほどシャープな生きている珊瑚だ。

 「百年に一度あるかないかの画期的なライディングだ」とスティーブ・ペズマン氏に言わせたXライド。
Xライドを無事乗り終えた直後に、レアードが涙を流したことも、私の記憶に残っている。
PS:ブログで色々なサーフィン情報をアップしています。是非ご覧下さい。
「得♪のサーフィン系100選」 http://www.hobidas.com/blog/surf1st/world-peace/

surf column赤井得士
1回目 2008/1/9 『ホームブレイク』
2回目 2008/1/23 『イイ波をキャッチする条件』
3回目 2008/2/6 『シェイパーの出身/在住地は?』
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5回目 2008/2/18 『日本人世界チャンプの可能性』
 
 
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