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コラム

西野入洋良『第4回 BDトリップはバックカントリーロッジ』

2017/08/02 tag: 西野入洋良

最終回のコラムは、前回からの続きで私のワーホリ体験談Vol2.をお伝えします。
私のワーホリ経験はフランスとカナダですが、今回も引き続きカナダの冬の記憶を掘り返してみることにします。

私は、カナダのBC州の中でも割と東にあるNELSONという小さな街に住んでいた。
カナダの有名なスキー場といえば、ウィスラーやバンフなんかを思い浮かべるが、日本人が多いし過去に行った事もあったので、もう少しマニアックな場所で未知な世界に行ってみたいと思い色々調べていたところ友人から紹介してもらいビビットきたのでそこに決めた。
そこは北米の中でも近年人気が出てきている"Ski the powder highway"と呼ばれるエリアでパウダーやバックカントリー好きが集まる場所。
日本でも最近少しずつ名前が知られてきているレベルスト-クなんかもこのエリアに入っている。
日本の豪雪地帯よりは降雪量は少ないものの、ウィスラーよりも内陸になるため雪はドライで雨も少なくパウダーが温存される素晴らしい気候である。
そして何よりも山の地形が日本に似ていて樹林帯も多く、ほどよく岩山もあるのでクリフやシュートなんかもあったりして地形に富んでいる。

nishinoiri photoWhitewaterスキー場

ネルソンはもちろん滑りを目的に行ったのだがそこは少しマニアックな場所なので、私と同じようにワーホリで滑りに来ている日本人は他に誰1人いなかった。
私は山に入る時に単独行動はしないと自分ルールを決めていたので、まずは友達作りから始める必要があった。
私がシーズンパスを持っていたWhitewaterというスキー場はパウダーやバックカントリーが好きな人達が多いのでそこで簡単に探せると思っていた。
でもそこに来ている人達は当然フリーランが好きなので、みな各々のルートを表から見えないような所で楽しんでいるので普通のコースではなかなか会えないのも事実だった。
それでも捕まえるチャンスはあった。
それは雪が大量に降った時まず大体の人はスキー場内を滑るので、その時のリフト時が狙い目だった。
とにかく始めは手当たり次第に声をかけていって気の合いそうな友達を数人作った。
また、同じようにワーホリなどでネルソンを訪れていたアメリカンやヨーロピアンが私と同じようにほぼ毎日山に来ていたので自然に繋がっていった。

そこで出会った彼らたちの目的は、もちろん山で滑りたいという気持ちで確認しなくても一緒だったし、山に対しての姿勢や技術も同じようなものだったので仲良くなるのにそれほど時間はかからなかった。

カナダの山は、国の大きさに比例するように広大だったし、バックカントリーエリアも日本と比べ物にならないほど豊富できっと一生カナダに住んでも滑りきれないんだろうなと思わせる程。
スキー場からのアクセスも簡単にいくつもできたし、ネルソンの周りにもたくさんバックカントリーエリアがあったので毎日がとても刺激的で楽しかった。

nishinoiri photo左から私が住んでいた家のオーナーTimと、ネルソンの山で仲良くなった友達。
 
そんな中シーズンも中盤を過ぎた頃、ネルソンに住む山友達にトリップに行かないかと誘われた。
声をかけてくれた彼女もまたスキー場で知り合ったその冬だけ滑りに来ていたパウダーと山を愛する女性で時々一緒に山に出掛けていた。今回はその彼女のバースデイに合わせてのトリップだそう。

トリップの内容は、ネルソンより少し北にあるGoat Rangeというエリアの中にある小さなバックカントリーロッジを3泊4日で貸し切り、そこをベースにあちこち滑るというもの。

なんて、楽しそう…♪
少し迷ったけどすぐにSure!と答えた。
御祝い事には予定がなければいつだって参加したいし、何よりも違うエリアで滑ったり小さなハットを貸し切ってのトリップなんて魅力的すぎだった。
メンバーはネルソンから6人、途中で2人合流、全員スノーボーダーの総勢8人が集まった。
ちなみに1人を抜かして皆スプリットボーダーだった事には、北米のスプリットボードの普及率をまじまじと感じさせられるものがあった。

nishinoiri photoトリップの出発前トラックにギュウギュウに詰め込むが、そのワインの載せ方どうなの?

その山小屋へはなんと車で入れるとのことだったので、トラックに詰めるだけの食料と酒を詰め込んだ。
山は仲間と酒があると更に楽しいと思っているのはカナダでも共通していた。
トラックには人と犬と食料でギュウギュウになって、重い車体を3時間かけて山小屋に向けて走らせた。
国道から外れた小道に入ると雪が積もっていたが、難なく到着。
その山小屋は木造2階建てなんだけど、本当にコンパクトで簡素な作りだった。
だけど生活に必要な物は全て揃っていて困る事なんて何もなかった。
カナダの山小屋には無人のところでも薪ストーブがあって暖をとるのも困らなかったし、むしろベッドが上部にあることが多いので暑い くらいだった。

nishinoiri photoダイニングキッチンnishinoiri photo
2階のベッドスペース
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トイレは外

料理は朝昼晩と順番で作った。ネルソンに住むカナディアンはグルメで健康志向な人が多いので、みんなが作る料理は結構美味しかった。
小屋には電気はなく全てガスで賄うシステムだったが、オーブンもあったのでパイやバースデイケーキなんかも焼いた。
朝やランチには手軽でバリエーションも豊富にとれるラップサンドが多かった。これがまた美味しい!

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どれも野菜たっぷりでおいしそうでしょ

山はというと、その山小屋をベースにいくつものルートがとれた。
1-2時間で滑れるお手軽な場所もあれば1日かけて行くような遠い場所まで。
このトリップの直前に30-40cmの降雪があったので、ピットチェックをしたりそれぞれの意見を出し合って毎回行く場所を相談した。
結局、この時はスティープな場所は外して少し斜度を落とした樹林帯で数日遊ぶことにした。
雪は本当にドライで膝の高さくらい積もっていても全く重さを感じない程だった。

nishinoiri photo

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山小屋の生活はシンプルだった。昼間は滑って遊んで。帰ってきたら食事の準備をして。
夜はトランプゲームをしたり、星空を眺めにいったり、明日行くルートを話し合ったりした。
時々、ゲームのルールや英語についていけないときもあったけど、そんなときはだれかが私とチームを組んでくれて助けてくれた。
そんな友人たちの優しさがすごく嬉しかったのを今でも覚えている。

nishinoiri photo
チョコレートケーキをつまみながらボードゲーム。これには全く理解できず。

毎日をそんなふうにゆっくりと過ごし、4日目の朝が来て皆で片付けをし山小屋の掃除をした。
そして帰りがけに、自然の山の中にこんこんと湧き出す温泉に入りに行った。
まさに日本でいうと無料の野営露天風呂。山小屋では数日お風呂に入れなかったから、すごく気持ちよかった。
こう考えるとやってることは日本と特に変わらない。

今思い返せばカナダでは毎日をゆっくり、そして丁寧に時間を過ごしていた。
きっと日本の生活とは違い、あまり情報も物も周りになかったからそれに集中できたんだろう。
今は、日本に住んで日本の仲間と日本の山を楽しんでいる。
大切なことは、どこにいてもどんな状況でも、その環境の中で楽しめる気持ちを持つ事だと思う。

山に向かう姿勢や技術は海外に行ってもほとんど共通している。
だから日本にいても天気や雪、地図読みなどの山の知識や技術、山の道具があればどこだって行けるはずだ。あとハートね!
世界にはたくさんの山があってたくさんの山好きな人達がいるから、自分から飛び出せばきっといい出会いが待っているはず。

ワーホリはたった1年だけど、私の中で本当に貴重で有意義な時間だった。
日本に住んでるだけでは見えないこと、わからないこと、感じないことが沢山ある。
人生の一つの経験として、海外に行ってみる、生活してみる、そんなことを是非オススメしたい。

●あとがき●
フランスワーホリでの体験も本当に色々あって、今では笑って話せるけど生死を彷徨う出来事や日本では味わえないバックカントリーなんかの話もしたかったけど、ページが全然足りなかった。またいつかの機会に!
次のコラムは、山でも一緒に遊ぶ白馬のほうてい野郎。お楽しみに。
4回のコラムでしたが、読んで頂きありがとうございました。



西野入洋良プロフィール
1982年生まれ・長野県千曲市出身。 自然をこよなく愛し、年間を通してアウトドアフィールドで活動中。冬はスノーボードのテレビ番組やDVD出演などメディア活動を経て、現在はライダー活動に加えバックカントリーガイド等に従事。オフシーズンは富士山ガイドをしながら趣味のクライミングやサーフィンを楽しんでいる。今後はガイド業で独立すべく準備中。
スポンサー:SECCA snowboard/ HOUDINI/ FULLMARKS/ NPO信州川中島平ファクトリー/ CARAVAN/ La Siesta
資格:日本山岳ガイド協会公認登山ガイドⅡ+スキーガイドⅠ/ 信州登山案内人/JAN雪崩業務従事者レベル1

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