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コラム

藤原智貴『第4回 パラサーフィン・レガシー』

2024/01/31 tag: 藤原智貴

あっという間に私のコラムも最終回を迎えました。
読んでいただいた方には心よりお礼を申し上げます。
最終回のテーマはパラサーフィン・レガシーです。
レガシーと言う言葉は、ポジティブな意味とネガティブな意味の両方の意味を持った言葉ですが、パラサーフィンはまだまだ歴史が浅く、発展途上中の競技なのでパラサーフィンを通じて後世に遺産を残すという良い意味で使わせていただきます。

障害を負って私の人生は大きく変わりました。
周りは心配したり、不幸なんではないか?と思っているかもしれませんが、意外とそうでもなく幸福感は健常者だった頃より今の方が強いです。
障害を負ったから気付いたこと、障がい者だから伝わる事、障がい者になったから出来る事があります。
本当に大切な事は何か?という事に気付かされ、当事者だから説得力があり伝わりやすい事、パラサーフィンで選手として戦う事や、介助犬ダイキチに出会えたことは私にとってとても大きなことであり、障がい者となったからできた事です。

 

世界選手権を経験して思ったことは、まずビーチにいる人の多さに驚きました。
週末ともなるとさらに多くの人で賑わいます。
それぞれの人がビーチでの時間を楽しみ、海が生活の中で近くにあることが感じられます。
すれ違う人々は最高の笑顔で挨拶をしてくれます。
ビーチを楽しんでいるのは健常者だけではありません。
障がい者も同じように楽しめる環境が整っていて、ビーチにはライフガードタワーがあり、海用の車椅子が常備され、IDがあれば誰でも借りることが出来ます。
その間は自分の車椅子も預かってくれます。(実際にIDを見せろと言われたことは無いですが)

 

また、砂浜には車椅子でも走行可能な特殊なマットが敷かれ、ビーチの中まで楽に行くことが出来ます。
そして、車椅子でも利用できるトイレも必ずあります。
それは管理されているビーチに行けばどこも同じだと言います。
日本では滅多に会うことはない補助犬を連れている人に会うのも当たり前の光景です。
そういう経験をして日本に帰ってきたときに地元で有名なビーチに行きましたが、私の幼少期の頃より綺麗に整備され、遊歩道までありますが砂浜はおろか、歩道に行くにも段差があり車椅子では海を眺めるだけでした。
日本では車椅子で海に行くにはまだまだ環境が整っていないというのが現状です。

 

それでもここ数年は、日本のいたるところでユニバーサルビーチの輪が広がりつつあります。
世界大会での経験を生かし、誰もが気軽に行くことができる、誰にでも優しいビーチの実現と、普段の生活に海をもっと身近に感じられるような取り組みや、アメリカやハワイがそうであるように、障害を持っていてもやりたい事が出来て、いきたい所に行ける環境づくりをやって行きたいと強く思います。

パラサーファーも全国で年々増えていっています。
私たちパラサーファーは、ビーチに行くと1人ではどうにもならないこともあります。
もし見かけたらボードを運んでいただいたり、波打ち際までのアクセスのサポートをしていただけると大変助かります。
声をかけてもらえるだけでも嬉しいので、何もしない方がいいのかな?と思うのではなくて、どんどん声をかけてくださいね!

 

私は34歳まで健常者でした。
障がい者となって15年が経とうとしています。
バリアフリーやユニバーサルデザイン、インクルーシブなどの言葉はよく耳にするようになりましたが、私が一番感じるのは健常者と障がい者の間にある心のバリアです。
ハード面のバリアフリーは、お金も時間もかかりますが心のバリアはすぐに無くせます。
そのバリアがある一番の理由と思われるのは、日本だと健常者と障がい者が関わることが滅多にない為、健常者が障がい者に対してどう対応していいかわからない、と言うことからきているように感じます。
これは健常者の方だけではなくて障がい者の方々の役目も大きいと思います。
家族や知り合いに障がい者の方がいない人の方が多いと思うので、障がい者の方にはどんどん外に出てもらって、いろんな人と関わってもらいたいのです。
私も1年半という長い入院生活から退院したとき周りは腫れ物に触るようでした。
でも一緒にいることで最初はみんな優しかったのですが今ではけっこう扱いは雑です。
普通に接してくれることが私も楽でいいですね。

見た目にはわからない障害がある事も忘れてはいけません。
目が見えなことがどういうことなのか、車椅子で生活するということがどういうことなのかを理解し、そして理屈や頭で考えるのではなく無意識に手を貸せる、自然と声がかけられることが当たり前にできるようになることが心のバリアフリーと言えると思います。
これは、この先の超高齢化社会に向かう日本にとって、誰もが住みやすい世の中に繋がっていくと思います。

私が伝えたい事の一つに、歳をとって高齢になると何かしらの障害を持つようになります。
また、私がそうであったように明日も健康である保証は誰にもありません。
私たち障害者が住みやすい世の中は誰もが安心して住みやすい世の中に繋がります。
私は怪我で早くに障害を持ちましたが、お年寄りだけでなく子供の頃がそうであるように生まれてから人生を終えるまでに人の手を借りない人はいないのですから。
そして、困ることがあるのは障がい者だけではなく、様々な人が様々な場面でニーズがあると思うので、その辺りも伝えていきたいですね。

 

ありがたいことに私は学校や企業などで講演で呼んで頂く事があり、子供達にはたとえ障害を負っても自分次第で人生は楽しいということや、スポーツを通じて夢を見せられる大人の1人として、これからもお話していこうと思います。
せっかく障がい者になったので、それを個性として生かしていきたいですし、健常者と障がい者の両方の気持ちがわかる私だからこそ感じることを一人でも多くの人に伝える事。
そして、パラサーフィンではまだまだ現役で頑張りますが、少しでも良い形で次の世代にバトンタッチ出来るように、日本のパラサーフィンの環境を整えていくことが、私のお役目だと思い全うしていきたいと思います。

 

藤原智貴 プロフィール
1974年生まれ パラサーファー(障がい者サーファー)
2009年サーフィンの練習中に頚椎粉砕骨折により頸髄損傷の大怪我を負う。
生死を彷徨いながらもなんとか一命をとりとめリハビリに取り組めるまでに回復はするも、
胸の半分から下の身体は動かず両手の握力も失い車椅子ユーザーとなる。
一年半の入院生活を終え退院後、仲間のサポートのもとサーフィンを再開。
今ではパラサーフィンと講演活動で相棒の介助犬ダイキチと全国を飛び回っている。
Instagram: @tomokichi_surf

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