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コラム

高貫佑麻『第2回 海に生きる者として』

2017/09/20 tag: 高貫佑麻

INTERSTYLE MAGAZINEのサーフコラム、今回は第2回目ということで、前回途中まで書いていた、水中撮影をするようになって何が僕のサーフィンに活きてきたかというところから書きたいと思います。

僕の場合の水中撮影とは、SONYの一眼レフカメラをLiquid Eyeの水中ハウジングに入れ、その上にGoProもつけたハウジングカメラとDaFinの足ヒレ、SurfEars2.0を持って海に向かいます。
一眼レフハウジングカメラでの撮影は始めたばかりですが、以前からGoProを持ってよく泳いでいたので、始めるにあたって特に難しいことはありませんでした。

takanuki photo
(Behind the wave)

水中撮影をするようになったキッカケは、現在進行中のプロジェクト「enjoy_.」の発端と重なります。
僕がFacebookに投稿した動画を石崎学さんがシェアしてくれて、そこへKei Otsukaさんが「みんなで一緒にサーフセッションからアートセッションしたいですね〜」とコメントしたのをキッカケに始まったのが「enjoy_.project」です

takanuki photo
(enjoy_.project)

そのセッション当日、写真家の鳥巣佑有子さんの水中撮影機材をお借りして初めて水中撮影を試みました。
フォーカスやシャッタータイミングなどがGoProよりも難しくて難儀しましたが、このセッションで海の一瞬を止めて、それが写真になるという感覚に憑りつかれました。
海や波は動いているのを眺めて見ていてもとても美しいのですが、その一瞬にしかない瞬間を写真を使って止めてみたときに、ゾクゾクするものを感じたんです。
鳥巣さんの勧めもあって、そこからすぐにLiquid Eyeの水中ハウジングとSONYのα6000をゲットして撮り始めました。

takanuki photo
(Ocean)

当初も今も何を撮るとかは決めておらず、心が動いたときにカメラを持ち出すようにしています。
すると自分の中でハッと心が動く瞬間というのは、旅の道中や登山中などにもありますが、不思議と海の中で感じるのがほとんどだということに気が付きました。
特にシュノーケルをつけてリーフチェックしているときや、ショアブレイクでボディサーフィンをしているときです。
その瞬間を昨冬のハワイにいる間に撮ってみると、自分の惹き込まれる世界がありました。

takanuki photo
(Bubble Wave)

来シーズンのハワイでは特にボディサーファーを撮ってみたいと思っています。
彼らは自分の体だけで海に接し、その体だけで波に乗ります。
その様の美しいこと…。
昨シーズンは上手く表現できなかったので、来シーズンは精力的に撮ってみたいですね。

takanuki photo
(Bodysurfer)

前置きが長くなりましたが、水中撮影をするようになって何が僕のサーフィンに活きてきたかについてでしたね。
まず大前提として、僕たち人間は水中では目もよく見えないし、ましてや呼吸することもできませんよね。
僕らの体は水中で生活するように作られていません。

そんな僕たち人間が水中に泳ぎだすというのは、とても気持ちがいい反面、恐怖を感じることでもあります。
窒息感、未知の生物の危険、潮流、驚くほど早く消耗する体力などなど…。

サーフィンや海水浴をしたことがある方ならお分かりいただけると思いますが、どんなに波が小さくても、その波の持つパワーは計り知れません。
腰くらいの小さな波でさえ、容易に僕たちの体を持ち上げ、浅瀬に叩きつけます。
日本のショアブレイクバレルをGoProで撮影していた時にも、強く海底に叩きつけられ身の危険を感じたことがあります。

takanuki photo
(Shore Break)

このように、波というのは美しくも一歩間違えると危険な存在にもなり得ますよね
そんな中で片手に水中ハウジング、足にDaFinを履いて水中に身を置く。
一瞬たりとも気は抜けませんし、常に海の状況に注意を払う必要があります。
この感覚はパイプラインなどでサーフィンしているときに気を張っている状態にとても近いものがあると思います。
そんな中でサバイブしながら、特別な瞬間を撮っていきます。takanuki photo
(Huge Barrel)

ショアブレイクで撮影するときは、サーフボードを持っていたら邪魔でその場にいられないようなポジションで常に待機することになります。
水深1m弱の足がつくような場所で、ダブルオーバーサイズのチューブの中を撮ったりもします。
その場所、その空間には知識や経験のある者でなければ安全にポジションすることはできないため、特別な場所であると感じますね。
僕自身も全然経験が足りませんが、少しずつ着実に積み重ねていきたいと思っています。

時折、自分の目の前で分厚いリップが炸裂する、最悪のタイミングに陥ってしまうことがありましたが、そうなるとどんなに海底に張り付いても人間がカタツムリを葉っぱから引きはがすような感じで波に体を持っていかれて、砂に叩きつけられることになります。

そのタイミングに入ってしまった時点で失敗なんですね。
なので次はもう少し早くセットの波に反応して沖に向かうよう心掛ける。
今の僕はこうして身をもって経験を積んでいる最中です。

takanuki photo
(Waterfall?)

これらの経験が普段のサーフィンに活きてくるとは全く考えていませんでした。
特に、ワイプアウトして波に巻かれたり、沖に向かう際に大きな波が来て板を捨てて潜らなくてはいけないような状況で、今までと全然違う感覚になってきました。
もちろん怖いのですが、これなら大丈夫と思えることでいい意味で心に余裕が生まれています。

特に実践していることは、水の中では常に目を開けていること。
水中で目を開けて状況を判断することは沖縄の海人サーファーから教わり、水中撮影をしながらその精度を高めていくことで昔と同じようにワイプアウトしたり、セットの波を食らってしまうような時にも、全く別の結果が出るようになりました。
水中ではハッキリと視認することは難しいですが、巻かれている間に水中で目を開けると、波のパワーの強いところと弱いところが見えるようになってきます。
それに加え、海底がリーフのスポットでは自分と海底との距離も把握できるので、どちらに泳ぐべきかや、どうリアクションを取るべきかが分かるようになります。

takanuki photo
(海のトルネード)

目を固く閉じていると体も緊張し、咄嗟の状況判断が遅くなります。
水中で目を開けることで自分の状況を把握しうまく対処できるようになるので、どんな状況でもサーフィンをより楽しくできるようになりました。
コンタクトレンズを着けている方はこの方法を試すと両目のコンタクトを失ってより危険になるので、裸眼の方限定ですが、ぜひ試してみてほしいと思います。

また、波の大きい時には魚のヒラメのように海底のリーフにつかまって張り付いたり、岩のくぼみに身を潜めたりすることも水中撮影から覚えました。
これは大きすぎる波が来て、板を捨てて潜らなくてはいけない状況で役に立ちます。それが胸くらいの波でも、トリプルオーバーの波でも、です。
海底が砂のポイントでも大いに役立ちます。目を開けて、片手で海底をそっと触れながら体を海底に吸い付けることで波のインパクトの衝撃から最も遠いところへ身を置くことができるのです。

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(Bottom)

ただし、パイプラインでは別の話です。
第1回目のコラムでも触れましたが、サイズの大きい日にシュノーケルをつけて泳いでみると、その美しいバレルの分厚いリップは、水面を突き抜けて水中でもそのパワーをとどめたままに溶岩リーフの海底付近にまで及んできます。
ですので、パイプラインではインパクトポジションに入ってしまった時点でアウトなので、絶対入らないように注意しています。
いかに深く潜ろうとも(波のサイズとパワーに対して水深が浅すぎるから)インパクトの衝撃からは逃れることはできません。

やはりそういった気を張った状態というのも、水中撮影とサーフィンが共通して持つ部分なのかなと思います。

takanuki photo
(@Pipeline_photo by Will Weaver)

と、ここまで書いていると、さも僕自身が水中での自信があり、自由に立ち振る舞えるかのように思われてしまうかもしれませんが、実は僕は水中に対して強い苦手意識があります。
というのも、20年サーフィンしてきて一度も見たことがないのに、サメや得体の知れない存在に対する漠然とした強い恐怖を持っているのです。
高校生くらいまでは、腰くらいのショアブレイクであっても1人で海に入れないほどでした。
今でも沖で1人になると、ボードの上に足を乗せて波待ちしているのはここだけの話です。

そんな僕ですが、目指すのはウォーターマン=Water Man。
Wikipediaで検索してもウォーターマンを定義する言葉は見つからないけれど、それはサーファーなら多くの人が知っている、エディ・アイカウのような人を指す言葉だと思っています。
他にはタイガー・エスペリ、リチャード・グリッグ、ケアウラナ兄弟、ナイノア・トンプソンといったハワイを代表する偉人たちがウォーターマンとして称えられる人たちです。

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(Eddie Aikau)

海の知識や経験に溢れ、動力のない船やボードでも自在に海を航海し、自らの手で海からの恩恵として魚などの糧を得ることができる。
そしてそれらの知識や力で多くの人を助けたり、導いたり、幸せにすることができる偉大な存在。
決して力の強さや競技力の高さだけでなく、自己の内側に宿る、人間としての強さをもつ者。
それが真のウォーターマンだと思っています。
自分で「俺はウォーターマンだ」というのは…なんか違うなと思います。

自分が雑誌やWEBなどで紹介される際に、ウォーターマンと書かれることがありますが、その度に「まだ全然ほど遠いのにな~」と思っています。
言葉遊びのようですが、僕は生涯を通してウォーターマンを目指す、ウォーターベイビーかなと思っています。

最近は様々なボードに乗るようになり、SUPやボディサーフィンもするし、海に対する漠然とした恐怖心も以前より薄れてはきましたが、水中にダイブして魚を突くスピアフィッシングや、ヨット・カタマラン・ウィンドサーフィンなどで風を利用し海を移動すること、ライフセービングなど海上での人命救助の知識や精神、カヌーやSUPなどでハワイの島から島へ渡る経験に裏打ちされた勇姿など、ウォーターマンへの道は長く険しく、尊いものだと思います。

その途上で、人として大きく成長していくことができると信じています。
今後もそんな高貫佑麻としての人生を歩むことができたら僕はとても幸せです。

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真に人間らしく強く生きるためにも、自然との深い関わりは絶対に必要だと思っています。
僕たちの住む地球の表面積の約70%が海です。水の惑星といわれる所以ですね。
その海の98%が深海と呼ばれる、光が届かなくなる200m以深の世界だそうです。
僕たちが目にしている海というのは、ほんの一部だということが言えますね。

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その母なる自然である愛すべき海も、様々な汚染により大変な状況にあります。
特に大きな問題の1つに、「海洋プラスチックゴミ」があります。

“世界の海に漂うプラスチックゴミの量は、「各国が相当に積極的なリサイクル政策を導入しない限り、2050年までに海に棲む魚の量を上回る」と警鐘を鳴らす報告書が2016年1月、ダボス会議で発表されました。現在、海に廃棄されるプラスチックゴミは世界中で毎年800万トン以上と言われており、これは「1分毎にトラック1台分のプラスチックを海に捨てる」のと同じ量“なのだそうです。

現在存在するプラスチック製品は、地中に埋めても海に流れていっても自然に還ることはありません。
日光によって劣化し、波に砕かれて更に細かくなりながら自然界に存在し続けるのです。
そうして5mm以下に小さくなったプラスチックを「マイクロプラスチック」と呼びますが、このマイクロプラスチックも大きな環境問題となっています。

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(マイクロプラスチック)

マイクロプラスチックは海水中の油に溶けやすい有害物質を吸着させる特徴を持っていて、100万倍に濃縮させるという研究結果も出ていているそうです。
その目に見えないほどに小さくなったプラスチックを食物繊維の底辺にいる小魚やプランクトンがエサと間違えて食べてしまい、食物連鎖の上位にいる大型の魚や僕たち人間の口に入るころにはその汚染が更に濃縮されていくのは想像するに容易いですよね。

これらは実際に僕らの愛する海で起きてしまっていることです。
パッと見て綺麗な海にも、目に見えないプラスチックが無数に漂っているのです。
これは、いつもサーフィンする砂浜をよ~く見てみることで砂と区別がつかないほど小さくなった破片を目にすることができます。

「MAN」という題名のこの映像をFacebookなどで目にしたことがある方も多いかもしれません。我々人間を客観的にみると、こういう感じなのかもしれませんね。

自然環境破壊、生物多様性の崩壊、人種差別、戦争など悪いことを挙げればキリがありません。
確かにこの世は悪いニュースで溢れかえっています。
しかし、僕たちには他を愛し、慈しむ心があり、自然に寄り添う生き方をし、過ちから学んでよりよく生きていくことができるはずです。

僕はサーファーとして海と深く接してきて、そう思うことができました。
僕たち1人ひとりにできることがあります。
僕たち1人ひとりが地球の未来を創っていくのです。
目の前にある、今すぐにでもできることから目をそらさないでください。

僕は1人ひとりの意識が変わり、みんなで行動できれば未来をいい方向に変えていくことができると信じています。

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(One Hand Beach Clean Up)

「そろそろ本気で考えよう、海を守るために。」

サーファーとして、いつもの海で簡単にできることがあります
それはOne Hand Beach Clean Upです。
海で楽しくサーフィンしたあと、ボードを持つのと反対の手でビーチに落ちているゴミを拾うのがOne Hand Beach Clean Up。
僕はこの活動が当たり前になっていくと確信しています。
すでに僕のまわりでは実践しているひとをよく見かけます。

こうした、1人ひとりが個人でできることに加えて、みんなの意志が集まることによってできることがあります。
僕がアンバサダーを務めさせていただいている、SurfRider Foundation Japan(以下SFJ)は国際環境NGOであり、日本の海岸環境の保護を目的に活動しています。

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(SFJ)

この世界に存在する環境問題の改善には、1人ひとりの意識・行動の変化と同時に、行政や企業への働きかけも欠かせません。
SFJでは無料のメンバー登録を募っており、みなさんの多くの声をまとめる役割を担うことで、行政や企業に対して働きかけることができるようになるのです。

まずはSurfRider Foundation Japanのホームページをご覧いただき、賛同していただける方には無料メンバー登録をお願いいたします。

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(SFJ登録のQRコード)

あなたにもできることがあります。みんなの力が集まれば、とても大きな力になるのです。

そのほかにも個人サポーターになっていただいたり、寄付をいただいたり、SFJを通して貢献できることがたくさんあります。
ぜひホームページを覗いてみてください。
http://www.surfrider.jp/

また、この記事をご覧になっている企業様にもSFJからメッセージをお伝えしたいので、ぜひこちらのページをご覧ください。http://www.surfrider.jp/everyone.html

第2回目のコラムも読んでいただきありがとうございました!
あなたに何かが伝わったとしたらとても嬉しいです。
第3回目のコラムは10月4日に配信予定です。

高貫佑麻(タカヌキユウマ)プロフィール

千葉県御宿町出身、一宮町在住。1989年生まれの28歳。
様々なボードや波を乗りこなしてサーフィンの本質に迫る、ナチュラルな魅力を持ったプロサーファー。
毎冬ハワイのノースショアに通い、エピックなパイプラインをメイクするビッグウェーバー。
旅人であり、モノづくりや写真、環境問題などに取り組んでいる。サーフライダーファウンデーションジャパン・アンバサダー。
目指すはWaterMan。現在は自称WaterBaby。
Facebook https://www.facebook.com/yuma.takanuki
Instagram https://www.instagram.com/yumatakanuki/
Web Site yumasurfmag.com

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