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コラム

西田洋介『第2回 物の価値』

2019/11/20 tag: 西田洋介

僕は1997年にアメリカのノースウエストにあった工場で12snowboardsというブランドを仲間たちと共にスタートさせ、以来現在に至るまでの20年間以上スノーボード作りに携わってきました。当時は海外ブランドの輸入商品しかない時代、自分達日本人の体型に合うボードを日本人ライダー達が作らなければならないと感じたのは当然の成り行きでした。そして2008年にTJBRANDという新たなコンセプトのスノーボードブランドを発足したタイミングからモノ作りに対する価値観やスタンスも大きく変わっていきました。それまではアメリカ、カナダ、オーストリア、台湾、中国、日本と様々な工場のOEMとしてモノ作りをしてきたのですが、結果としてどの工場で生産してもOEMで生産する以上プロダクトの開発や新しい試みを具体化するのにはやはり限界がありました。今までのスノーボードのインダストリーは日本も含めて世界的にも90年代に訪れたスノーボードバブルという背景が大きく影響しているため、どこの工場も大量生産という概念からはなかなか脱せない状況下だったのです。そして2011年東日本大震災という悲劇が日本を襲いました。あの出来事は僕たち日本人にとって今までの価値観や固定概念が完全に白紙になるほどの大きな衝撃を与え、今考えると大きな転換期となりました。僕たちはその震災で生き延びたタイミングを期に、今までのスノーボード作りに対するスタンスを180度変換させる覚悟を決めてSUNRISE SHRED SERVICEという自社開発工場を西東京に設立、1から10まで100%自分たちの手でスノーボードを作り、そこで試行錯誤しながら様々なコンストラクション、シェイプ、新たな発想を具現化してテストを繰り返し、商品にフィードバックしながら常に固定概念に捕らわれない未来に向けた全く新しいスノーボード作りの取り組みを始めています。同時に僕は1993年に当時カナダのモントリオールが拠点のREWINDというウエアブランドにグローバルでサポートされて以来スノーボードウエア作りにも携わってきました。その後REWというドメスティックブランドに名前を変えたそのブランドのハイエンドモデル“KAMIKAZE“シリーズやNPATHLETICSというアパレルブランドからスノーウエアライン”RAS“をプロデュースするなどしましたが、やはりウエアに関してもスノーボードと同様に大量生産という壁が大きく立ちはだかっていました。その後縁があって1991年に日本で最初のスノーボードウエアブランドとして発足し、スノーボードウエアとしては最初にGORE-TEXを採用するなど一世を風靡したAFDICEGEARという老舗ウエアブランドのアンバサダーとして活動するようになったタイミングを期に、スノーウエアもスノーボード同様に大量生産から脱する方向性を模索していくようになりました。そして今から4年前の2015年にAFDICEGEARは山梨県小淵沢に自社工場を設立し、生地の種類、カラー、各パーツのサイズ変更まで対応する世界初のテイラーメイドスノーウエアとして生まれ変わり、現在に至っています。

Nishida Yosuke photo

Nishida Yosuke photo

Nishida Yosuke photo

現在の世の中は変化がとても速く、時代の変化に伴い大量生産大量消費という概念は既にどの業界でも過去の概念となりつつあります。僕が長年に渡ってスノーボードやスノーウエアというモノ作りに携わってきた結果として今現在辿り着いているアプローチは生産数のコントロールやカスタムメイドという少量生産を軸とした新しい製品の価値とサービスです。これだけ物に溢れた現代社会の中で人件費の安い途上国の工場で大量に生産してコストを安く提供するビジネスモデルだけが全てではないということを日本に自社工場を設立し、自らが生産に携わることで強く実感するようになりました。そしてこのアプローチに辿り着いた背景にはサーフィンというカルチャーが大きく影響しています。サーフィンよりはまだ歴史の浅いスノーボードというカルチャーのインダストリーに疑問を持ち始めた時、僕はサーフィンというカルチャーのインダクトリーに目を付けました。サーフィンというカルチャーにはライダーという存在よりも更に上に位置するシェイパーという圧倒的な存在が確立していて、そのシェイパーがライダーの好みに合わせて1本1本手作業でサーフボードを製作するハンドシェイプという文化が継承され続けています。サーフボードもスノーボードも同じボードという乗り物の製品なのですが、残念ながら現在市販されているスノーボードの多くはシェイパーが魂を込めて自分だけのためにシェイプしてくれたカスタムサーフボードの価値にはまだ到底及びません。またスノーウエアに関しても同様で、日本のサーフィンのインダストリーでは主流となっている受注生産を軸としたオーダーメイドのウエットスーツ作りを参考にテイラーメイドのスノーウエアというアプローチにも辿り着きました。スノーボードというカルチャーも月日を重ねて既に成熟期を迎えている今、今後さらなる発展を遂げるためにもスノーボードインダストリーは他の様々なカルチャーのインダストリーから良いところは吸収しながら、作り手と購買者とのコミュニケーション、作り手たちの情熱が篭ったモノ作りや個々の要望に対応して生産するという新しい製品価値も提供できるようなシステムを構築するタイミングにきていると感じています。

http://tj-brand.com
http://afdicegear.com/materials.php

 

西田 洋介プロフィール
1997年に12SNOWBOARDSを北米で立ち上げ逆輸入をスタート。ライダーズブランドを牽引し、その後TJ BRANDやブランクスボード、AFDICEGEARをコアマーケットに投下。天神バンクドスラローム、FWTなどブランドの垣根を超えたムーブメントも牽引するプロデューサー。谷川岳の開拓でも知られる。

 

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