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コラム

小西隆文『第4回 15年作品を発表し続ける、世界に認められたHeart Films』

2020/11/18 tag: 小西隆文

Konishi Takafumi Photo

今回で僕のコラムは最終回。最後に自分の人生を変えたHeart Filmsについて書きたい。
Heart Filmsとは日本はもちろん、カナダ、アラスカ、ヨーロッパと世界中のバックカントリーで自らを表現するライダー達の冒険と成長の映像を作る集団であり、この秋に15作目の作品『Colors』を発表する。ちなみに自分はすべての作品に出演している。

スノーボードとの出会いはもちろん自分の人生を良い意味で狂わせてくれたのだが、Heart Filmsに出会わなければ
これほどスノーボードについて探求しなかっただろうし、プロとして長年活躍できる事もなく、このコラムを書く事もなかっただろう。

ひと通り国内の大会で活躍し満足気味の僕に舞い込んできたのが、カナダのウィスラーを拠点とし活動する布施忠からの誘いだった。当時バートンのグローバルライダーとして、自身のシグネイチャーモデルも出していた忠からの誘いに初めは喜んだものの、ウィスラーのバックカントリーでスノーモービルを使った撮影はとんでもなくハードなものだった。
しかし、そこは世界のトップライダーが集まる場所。擦りきれるほど見たムービーのジャンプスポットやクリフがそこら中にあり、トップライダーと出会う事も普通だった。 そんな世界のトップライダー達が凌ぎを削る場所で、自分は思ったように映像が残せず、実力の足りなさ、経験の浅さに愕然とした。自分のやってきたスノーボードは世界に通用しなかった。

何年かカナダで撮影を続けていると国内ではもてはやされたし、スポンサーも評価してくれていた。「よ、世界の小西!」なんてからかわれるたびに、「日本の小西です」「自分、全然まだまだなので」と、日本から見ると小西もそこそこ頑張ってるように見えてたかもしれないが、世界のトップとの差をわかっている自分は全然満足できていなかった。いつしか世界に通用する滑りをする事が自分の目標になっていた。

Konishi Takafumi Photo
Photo by Heart Films

今のHeart Filmsライダー達も皆、世界レベルの滑りを目指して滑ってきたはずだ。
中井孝治、藤田一茂、中村陽子、佐藤亜耶、業界では誰もが認める滑り手達だ。今もバンクドスラロームでは全員国内トップレベル。
皆初めはフリースタイルでオリンピックを目指したり、出場して活躍したり、TOYOTA BIG AIRに出て活躍したりとコンペのシーンで活躍していた。
でもいつしかトリック合戦に興味がなくなり、「パウダー気持ちいー!」なんてバックカントリーに足を伸ばすと、
「あれ思ったように滑れない、どうすればもっと気持ち良く滑れるんだ?」と手付かずの自然の地形をどう滑るかとうことにフォーカスしていく。そこにはスノーボードの奥深さが詰まっていて、そこに気付いてしまうと底無し沼のようにもう抜けることができない。Heartライダーは沼にはまったスノーボーダーで構成されている。

Heart Filmsは強力なスキーヤーとも撮影をしている。まずはフリーライドの世界戦[FWT]で戦う佐々木悠と、小野塚彩那。この2人のアスリートとしての意識はめちゃめちゃ高く、いつも刺激を受ける。それに川口哲という軽い滑りでしゃべりも軽快な愉快な男もなくてはならない存在だ。カナダ在住なのに日本でJAPAN FREERIDE OPENを主催する変わり者、植木鹿一。雪山へかける情熱に使う道具は関係ない。お互いに良い影響を与えている。
皆がいつもフルで動けるわけじゃないが、スポットで撮影に参加し、お互いの成長度を見せ合い高めあっている。

忘れてはいけないのが、このメンツをたった1人で追い続ける、フィルマー田島継二だ。
彼はバックカントリーで、ムービー、スチールカメラ、ドローンと3台のカメラを一度に操る世界で初めての男である。
しかもプロデュースから、広告、編集をすべて1人で行う。この男の情熱なしにはここまで長く続いていない。

Heartの撮影ではいろんな経験をしてきた。ウィスラー周辺ではスノーモービルで1日100km以上走り回って夜明けから日没まで撮影した。向こうは日が長いので山の上に12時間以上いる事もざらだ。
氷河までセスナに運んでもらい、そこでキャンプをしながらピッケルとアイゼンを使って登山家のような登りからの大急斜面の滑走など。
でも1番思い出深いのはアラスカで1ヶ月雪上キャンプ生活をしながら、スノーモービルで撮影をした日々だ。テンティピという大型のティピをリビングとし、その周りに個人のテントを張って生活をした。天気が悪く山に上がれない日も多かったが、焦る事なくただアラスカの大自然の中での時間を楽しめた。
良い映像を残すためにガムシャラに走り続けてきた自分たちにとっては、転機になったトリップだったと個人的には考えている。さすがに全く映像が残せないとツライのだが、焦ってもしょうがない。自然の中で過ごす時間がこんなにも気持ちがいいものかと再確認できたのだ。これこそスノーボードの醍醐味じゃ無いのか。

1シーズン、映像を残すことだけにこだわり、ハードな日々を過ごし素晴らしいパートを残す事が1番評価される時代があったが、今はそれが出来たとしても残念ながら見返りはそれほど大きくない。
ある意味その頃より甘くなったのだが、自分たちが面白そうだ、やりたいと思ったことをする。それをうまく表現することが多くの人に響く時代になった気がする。でもハードに攻める人の価値は絶対に下げてはいけないとも思う。

もうすぐ発表されるHeart Films最新作、僕は息子と滑るシーンを撮影した。今まで自分の経験してきたことを次世代に伝えたい。まずは自分の息子から。
親子でツリーランをいいスピードで滑って森を出たところでハイタッチ。ぼんやり描いてた夢のひとつは叶った。

昨シーズンはキックオフと同時にカナダBC州レベルストークで撮影を始め、1月からは北海道、長野、Heart Filmsとして初となるスペイン、アンドラ公国、ドイツ、オーストリアと、コロナウィルスが猛威を振るいシーズンが強制終了となる直前まで撮影を重ねてきました。
Heart Films15周年記念作品となる最新作『Colors』は、Heart Filmsライダーたちが切磋琢磨し合い、様々な経験を重ねてきた色とりどりの軌跡を紡いだ物語。
これまでのDVDという形をやめて、映像と写真とストーリーが楽しめるQRコードを活用した『Movie Book』という形でリリースします(A4サイズ 80Pを予定)。
発売は2020年11月27日。映像作品のみのダウンロード版もあります。
きっと心が熱くなり、滑りに行きたくなるような作品ですのでご期待ください。


追記 NPO法人リブラントで信濃町に室内パークを作るため、クラウドファンディグをする予定です。
場所は決定していて来年5月オープン予定。皆様の記憶の片隅にでも置いていただければ嬉しいです。

 

小西隆文プロフィール
1978年生まれ徳島県出身。息子を2人持つ現役プロスノーボーダー。
ハーフパイプ、BIG AIRなどフリースタイル種目での大会活動を終え、カナダやアラスカでのバックカントリー撮影に没頭すること15年。最近では激しい斜面のために鍛えた滑りで、天神バンクドスラロームや東野圭吾主催による賞金200万円の大会で優勝するなど業界ではリザルトを残す男として有名。

 

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