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コラム

小松吾郎『第3回 今、伝えたいこと。』

2017/12/06 tag: 小松吾郎

前回のコラム、ありえないすっぽかし、やってしまいました。
読もうと思ってくれていた皆さん、本当に申し訳ありません。
謝罪文的なものをみっちり書くことも考えました(というか実際に書きました)が、面白くもないし、役にも立たなそうなので、出すのはやめました。
すいません。
今回が最後だし、このコラムに多分2周目はないので、伝えたかった大事なことを書きます。よかったら一読お願いします。


komatsu photo

冬がはじまるこのタイミングだからこそ、伝えたいことはなんだろう?


そう思ったら、やっぱり雪山での安全の話だな。

バックカントリーだパウダーだ、と盛り上がってる人たちが、最近増えてきているのはご存知だと思う。散々それをやってきた自分としては、その魅力を知って盛り上がっちゃう気持ちは、よーくわかる。自分が感じてきた「最高」の感覚や環境を、より多くの人が知り、好きになってくれることは嬉しいことだ。
ただ、ただ同時に、そこには管理された場所には無い様々なリスクが潜んでいることを、忘れないでほしい。侮らないでほしい。
バックカントリーを楽しむ人が増えるにつれ、雪崩や遭難、滑落などといった、事故に遭う人も増えていることにみなさんもお気付きであろうと思う。
そこに入るということは、そのリスクを自分たちで(自分で)管理する(マネージする)ということだ。
ありがたいことに、そこを代わりにやってくれるガイドさんを雇うことも可能だし、そういう場所に連れっていってくれる人も、いないことも無いかもしれない。ほとんどの人は、そうやって、文字通り「連れていってもらう」という形で始めるんだろうと思う。
もちろん、ずっとその形をとることは不可能では無い。たまにしか行けない、滅多にそういうチャンスが来ないという人は、それでもいいのかもしれない。(ガイドツアーは基本、「何もわかっていない人でも大丈夫です。」という設定で行われるわけだし。)
Be your own guide(自分のガイドになれ)を指針に「自由に」その代わり「リスクを自分たちで背負って」進んできた自分としては、自分たちで(自分で)出来るようになることを強く勧めたいが、それは経験したいこと、学びたいことの違いだから無理強いはしない。

とはいえ、バックカントリーで安全に行動するための能力は、生きる上で役立つことがかなり多い。
まず分かりやすい例でいえば「ファーストエイド」の知識。
自分や仲間たちの何人かは、ウィルダネス・ファーストエイドという僻地での応急処置を学んでいる。これは、状態を把握し、処置を施す、「(準)医療処置」的な部分ももちろん含んでいるが、道路のない自然環境で起きた事故を想定しているから、人力での搬送の仕方を学ぶことにも重点が置かれている。今その詳細を書くことはやめておくけど、骨折した場合、大量の出血があった場合、意識がない場合など、様々な知識を得ることが出来る。これを持っていると、そういった状況に遭遇した時に「対処しないといけない」立場になるから緊張感もあるけど、何かが起こった時に「対処できる。」という能力は非常に役に立つ。実際にそういう場面に出くわし「対処する」という場面は、その資格を取ってからの6年の間だけでも何度も経験してきた。「何も出来ねー!助けてー!」ってなるのも嫌だからね。

そして「天気」を見る能力。これは学ぶというか、テレビや新聞などで見られる基本情報よりも、より詳しく伝えられている情報を見るか見ないか。みたいなところだけど、是非オススメしたい。
これらの情報を続けて見ていると色々と見えてくるものがあるし、普通の予報では伝えられない長いスパンの予想も、ある程度自分でつけれるようになる。これは普通に便利。
とりあえず、いつも見てる、色んな天気図が見れるサイトのリンクを貼っておく。ちなみに天気予報士の人たちは、これらを見て予報を立てているそう。
http://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html

わかりにくいのも多いけど、アジア太平洋地上天気図っていうやつと、北半球ってやつだけでも、毎日チェックすれば、いつぐらいにどれぐらいの低気圧が来そう。とか、しばらくは大きいのは来ないな〜。とかはわかるようになるから、面白いよ。その日の行動とかの目安にも出来るしね。

「雪崩」雪の知識のこと。
(冬山)バックカントリーで行動しようと思うなら、雪崩のリスクとは常に向き合わなければならない。
そういう場所に行ったことがない人でも、少しは想像がつくと思う。
それは一瞬の出来事で、その一瞬で命を失ってしまうこともあり得る。雪崩は本当に恐ろしい。
無理するところ、ギリギリを攻めるところでは、絶対にない。
よく使われる雪崩リスクの基準は5段階に分かれていて、可能な限り、自分は2段階目までにしようと考えている。3段階目「Considerable」(無視できない、考慮するべき。)という段階までは、行動する人は結構多い。自分もそういう日が無いわけではないし、単純にエリア全体の平均的な評価が2段階目「Moderate」(穏やかな、程よい)となっていても、地形の形、斜面の向き、日当たりなど、場所場所でそれぞれ違うから、ある部分は3段階目、4段階目、となっていると考えるべきだ。
まあこんなことを、ここにいくら詳しく書いても、正直そんなに伝らないと思う。だからこそ、もしその遊びをやって行こうと言うのであれば、それを実際に学ぶことをオススメしたい。出来れば、というか絶対に、フィールド・ワーク(フィールドでの実技)が含まれた雪崩講習会を受けるべきだ。
座って映像を見て。みたいな座学も、もちろん役には立つけど、それだけだとほとんど頭にしか入らない。ピットチェックのやり方とか、雪の中でのビーコン・サーチとか、フィールド感覚を養うことが非常に大切だ。更に言えば、楽しくやるのはもちろんいいけど、真剣にやらないといけない。笑いながら、ゆるゆるにトレーニングをする感じが、日本人には多いけど、カナダでは、「あれー?」なんて言ってもたもたしていると「何やってんだ、お前の仲間が雪に埋もれてんだぞ。1秒でも早く見つけてやれ!」と真横から怒られ、急かされる。実際の状況をイメージしてやらないと、せっかくのトレーニングの効果も半減してしまう。マジで。恥ずかしがることはない。真面目に、真剣にやろう。
そう行った講習会は日本ではあまり広まっていないが、カナダ人やアメリカ人、おそらく多くのヨーロッパ人も、三種の神器と言われる「ビーコン・ショベル・ゾンデ棒」をゲットした時点でほぼ必ず受ける。
多くの人が最初に受ける一番基本的なものでも2日間か3日間、と、それなりの値段と時間が必要だけど、それを一回受ければ、フィールドでの感覚は大きく変わる。スキルもメンタルもかなりレベルが上がるし、それをベースにさらにレベルを上げていく事も可能だ。ガイドツアーに何十回参加するよりも価値は大きい。(それがやりたいなら。だけどね。)

雪崩の知識は他の場所で役立つことはそんなにないかもだけど、基本的には「地形の見かた」、「コンディションの見かた」、「判断の仕方」だから、山のどういうところがどういう感じで、どういうところは危険・安全、地盤の強弱、気温がどうなるとどうなるって話だから、全く実生活に役立たないわけでもない。例えば、地震に強い家(の建っている位置)とか、屋根の雪がいつくらいに落ちそうとか、なんとなく予想できるし。山のどの辺がいい雪で、どの辺は硬いとか、見えてくるから、ゲレンデ内でもいい場所、行かなくていい場所が、見えてくる。その視点は結構楽しい。
自然を意識して、ある程度状況を把握できている中で遊ぶのと、全くわかんないで遊ぶのでは、大きな違いがある。

せっかく自然の中での遊びをやっているのだから、自然を学び、自然に近づこう。というのが、すごく大事なことだと思うし、それがスノーボーディング(などの自然をフィールドとする遊び)がもつ、他の遊び(やスポーツ)と大きく違う点で、自分にとって、重要なポイントだと思っている。
だからこそ、自然のままの自然を、普通の人たちよりも身近に感じているものとして、それを学びたい、伝えたい、守りたい、大切にしたい。という気持ちが芽生え、ここまで24年間ほどプロを続けても発信を続けている。それこそガキの頃は、自然を踏みつけるような感覚を持っていた。今は出来る限り「調和」して、「味方で居よう」という感覚でいる。(ダメージを与えてる部分はあるにしても)

今年はありがたことに、すでにしっかりとしたベースが出来ている。すでに最高の瞬間を味わってきた人もいるだろう。パウダーの楽しさを感じて、先シーズンまでの続きをやるのもいいけど、スノーボーダーとしての先を見据えて、新しい一歩を踏み出すのもいいのではないか?
こういった「滑ること以外のスキル」を上げることも、結局はスノーボーディングのレベルを上げることに間違いなく繋がる。

どんな道を選ぶかは、いつもあなた次第だ。

こんな、わかるようなわかんないような文章が、何かしらの役に立つことを祈っている。

ありがとう。
楽しいシーズンを、楽しいスノーボード人生を


ps.
このコラム・シリーズはかなり面白いと思いました。各ジャンルのコアな話が、オブラートに包まれずに出ている。自分が作っている、プレイヤー発信型メディア「Free Magazine“HAND”」が出そうとしている形と言ってもいいです。さらに、リレー形式になってるのもグッド。沢山の人が読むといいな。と思いました。ただ、悪いことではないんだろうけど、自分を含め、年齢層がどうしても高くなるんだろうな。と思いまして、読んでいるうちに、是非若者の意見、ストーリーが見たいな。と思ったので、自分の次は増田ルイキくんにお願いしました。
ちなみに、うちの犬(Tsuki)はルイキの犬(Jiyuu)&ミナトの犬(Choco)の息子です。

komatsu photo
宣伝:HAND も間も無く入稿です。1月には配り始める予定なので、興味のある方は、是非さがしてみてください。
今シーズンもスノーボードや、雪板、スノースケートの楽しい地形イベントなど、いろいろ企んでいます。
詳細はこちらhttps://www.instagram.com/goro_komatsu/?hl=enには必ず出しますので、よかったら、チェックしてください。



小松吾郎プロフィール
1976年 地球生まれ
ニセコ 〜 ウィスラー 〜 白馬 〜 ?
スポンサー:Now / Deeluxe / Electric / AREth / DRM1K / MAKE Yukiita / Peacemaker snowskate / Verts / Redi / 地形研究会(地球研究会)
90年代からスノーボードに関する色んなことをやらせてもらっています。最近はイベント開催や、(遊び)地形の研究、フリーマガジン “HAND”を作ったりしています。昨年スノーリゾートに歩いて3分のところに引っ越しました。子供3人・嫁1人・犬1匹。
POW(protect Our Winters) の活動に関わらせてもらったり、Freeride World Tour のジャッジをやったり、大人な活動も増えて来ていますが、気がつけばフリーフット(雪板・スノースケート)遊びに興じています。
もっと平和で、もっと楽しい、もっと優しい、もっと寒い地球を目指して活動を続けています。
Instagram:https://www.instagram.com/goro_komatsu/

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